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陰陽戦記TAKERU外伝 ~拓郎編~

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 僕は『命』を侮辱するものを許せない。
 人間だろうと動物だろうと、命は1つだ。そして皆一生懸命に生きている、戦争がどうだとか知った事じゃ無い、僕にとって命は宝物だ。
 でも何より大事な人が鬼の手にかかって苦しめられている。
 彼女はいつも僕に笑顔を見せてくれた。一緒に過ごす時間もとても楽しかった。
 一緒に勉強したり食事したり、遊びに出掛けたり、動物の世話をしたり…… 美春ちゃんはいつも笑ってくれた。
 その人を苦しませて黙ってる事なんて僕には出来なかった。
 僕は壁にすがりつくように歩いている石動さんに言った。
「待ってください!」
 勢いが良過ぎたかな? でもそんな事はどうでも良い。
 少々驚いた感じで振り向いた石動さんに僕はズボンの後ろのポケットからグローブを取り出して両手にはめた。
「僕が…… 行きます!」
「君が? いや、しかし君は……」
 石動さんは目を見開きながら言って来た。
 でも僕は彼の言葉を遮った。
「昔、説教された事があるんです。『自分の命1つ守れない奴に誰かを守る資格は無い』って」
 僕は苦笑する。
 数年前に1つの命を守る為に僕は死にかけた。
 その時に『相棒』に言われた言葉だった。
 幸い僕は助かり、敵を倒す事が出来たけど…… でもまさか今度は僕が言うとは思わなかった。
 本当なら平和が1番だし、僕はもう誰も傷つく所も苦しむところも見たくない、だけど今分かった。
 戦わなきゃいけない時もある、平和なひと時を破壊してでもやらなきゃいけない時があると…… 僕はもう迷わない。
「まぁ、どこまでできるか分かりませんけどね」
 僕は頬を掻いた。
 すると石動さんは微笑しながら言った。
「そうか、分かった。じゃあ1つプレゼントをしよう」
「プレゼント?」
 僕は首を傾げた。