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陰陽戦記TAKERU外伝 ~拓郎編~

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4章,大地の守人


 僕は今までいた地下牢の通路を逆走し、手術室の方へ向かった。
 石動さんに打ち込まれた細菌には『呪い』がかけられているらしく、奴を倒さない限り解く事はできない。
 岩村國彦は自ら細菌を射って自殺した。つまり細菌も生物で、岩村と一心同体になっている。
 そんな奴に果たして勝てるんだろうか…… それが心配だ。皆の運命は僕にかかっている。
 僕は元々戦う事自体好きじゃないし、6年間のブランクはある、もし失敗すれば皆お終いだ。
 だけどそんな事考えてる場合じゃ無かった。
「っ!」
 目の前の扉を開けるとそいつは待ちかまえていた。
 拘束手術台の向こう側に相変わらず不気味な色のオーラに包まれた奴がいた。
「岩村…… 國彦」
 僕は顔を強張らせた。
 人魂から人型になった岩村は僕に向かって言って来た。
『絶対に譲らんぞ…… 私の研究、私が日本を勝利に導くんだ』
「こいつ……」
 やっぱり思った通りだ。
 以前聞いた事がある、成仏できない霊の中には自分が死んだと気付いていない者もいるって…… まさにこいつがそうだ。
 すると岩村の陰の氣がまるで破裂したかのように膨れ上がると壁や天井から子供の握り拳位の黒い人魂がすり抜けて岩村に集まって来た。
 まだ人体実験の犠牲になった人達がいたんだ。それが岩村に射ち込まれた細菌の影響で無理やり動かされてる…… 彼等の魂が岩村の体に張り付くとまるで黒い光沢を放つ鎧の様になって行った。
 科学者特有の白衣はそのままだけど、他は固く黒い外殻に覆われ、頭部と一緒になった大きく突き出た肩に2本の角が生え、鋭い牙が生えた口の中に赤黒い爬虫類特有の眼がギラつき、5本の指がメスのようになった腕、鋭く尖った爪先、先端が鋭い注射針となって鎧を着こんだ大蛇の様にくねり動く反り上がった尻尾の蠍を思わせる姿になった。
『カァアアッ!』
 鬼は奇声を放つと僕に襲いかかって来た。
 大きく開いた掌に陰の氣が溜まると僕に向かって突き出した。
 すると無数の黒い球体のエネルギーが放たれた。
「くっ!」
 僕は眉間に皺を寄せる。
 いきなりヤバ過ぎるのが来た。
 僕は右に飛んで床に転がって攻撃を回避する、だけどこのままじゃどうしようもなかった。
 何しろ僕はグローブで法力を練りだす事は出来るけど、岩村との距離が離れ過ぎている、今の僕じゃ間合いを詰めないと攻撃が出来なかった。
 すぐさま体制を変えると身を低くした状態で走り出し、手術台を迂回して攻撃を仕掛けた。
「はああっ!」
 僕の握った右拳に紫色の光が灯ると鬼目がけて思い切り突き出した。
 僕の拳は奴の胸にヒットするけどビクともしなかった。
 相手の装甲が固すぎるんだ。
 そんな事を考えていると鬼は陰の氣の連射を止めて両手を振るいあげた。
 鋭い爪が鈍い音を立てると空を切って僕を攻撃した。
「うわっ!」
 僕は慌てて後ろに飛ぶ。
 だけど完璧には避けられず、奴の爪が羽織っていた僕の上着を引き裂いた。
 あと一歩交わすのが遅れてたらスプラッタだった。
 だけどそれだけじゃ無かった。
 今度は奴の元々長かった尻尾がゴムの様にさらに伸びると僕の眼前に迫った。
「くっ!」
 僕は慌てて横に飛んで交わした。
 でも鬼の尻尾はUターンすると一度頭上に舞いあがり、僕の頭上目がけて落ちて来た。
 僕は今度は前に飛んで交わすと僕がいた場所は大きな音を立てながら砕かれた。
 だけど今回はただ砕いただけじゃ無かった。
 何と粉砕されたタイルが異臭を放ちながらドロドロになって腐り落ちた。
 地面から引き抜かれた尻尾の先端から粘々した液体が滴り落ちていた。それは間違い無く細菌だった。
「何て奴だ」
 手術台を背に当てながら僕は固唾を飲んだ。