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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 「SOSの子守唄」

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第4話 救難信号



インフィニチウムの掘削作業を開始して、52日目。
地下深く320Kmまで到達したけど、まだお目当ての層にはたどり着かない。

「ソニックドリルの周波数を、下げ過ぎなんじゃないかしら。これだけゆっくりだと、プラズマの消費量が多すぎるわ。」
「シミュレーションどおりなら、もうすぐインフィニチウムの反応域に近づきます。周波数を上げると、インフィニチオン反応で分解が起こります。」
「あんな爆発はもういやよ。」
「では、ゆっくり地道に掘り進めましょう。」

ホロシミュレーションでは、16回失敗して大爆発を起こしていた。
私たちは16回も死んだことになる。でも、それはホロプログラムでの話。正確にはホロチャンバーの中の、架空のホロチャンバーでのシミュレーションの話。
ホロプログラムは現実と見分けがつかないほどだけど、人体には危険が及ばないように、安全装置が付いているから、現実に死ぬこともケガをすることもないの。

私もはじめは爆発に驚いたけど、10回目ぐらいから笑えるようになってきた。
ケイは何度爆発しても、表情を全く変えなかったわ。
「少しくらい笑ったら?」
「エルが死ぬところを見て、笑うことはあり得ません。」
「あなたがバラバラになるところを、見飽きちゃったから笑えるのよ。」
「それはユーモアか何かですか?」
「・・・何だろう? よく分からないけど、不謹慎でも笑えるものよ。」
「笑いの感情は理解に苦しみます。」

17回目のシミュレーションでやっと成功して、さらに12回練習もした。
そうして、やっと現実に掘削作業を開始したんだけれど、深過ぎて、センサーではインフィニチウムの反応を感知できないから、地質学的な分析から予想した掘削ポイントを、信じて掘り進めるしかない。
ホロシミュレーションでは、一番成功の確率が高かったのに、この場所は見当違いだったのかしら。

この星の1日は約22時間。夕暮れが近づいて来たから、今日の作業は中断する。暗くても作業には影響ないけど、夜は休息をとることにしているの。
私たちは掘削現場のすぐ近くに、居住棟を設置して、その窓際の席で、夕陽を見ながら食事をするのが習慣になってきたわ。
この星は大気がやや薄いせいで、夕焼けは地球のほど赤くない。火星の夕焼けほど青くもないし、どっちかというと、昼の太陽を暗くしただけで、あまり感動しない。それは私の感情が乏しいからというわけではないと思うの。きれいな夕焼けを見れないことが、とても残念に思うんだもの。

このところケイは、何か少し様子が変わってきた。
私と話しをする時は、いつも笑顔で話すけれど、それはアンドロイドにプログラムされた作り笑顔。でも彼ったら、最近、タックと話をするようになったの。しかも、笑いながら話しかけているのよ。私がそうするのを見て、真似ているのだけど、タックの方はというと、知らぬ顔して毛づくろいしているのが可笑しい。
ケイは感情を理解しようとして、自分の変化について考えているようだわ。私もそうだったから分かるの。