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最後の孤島 第3話 『煙にまかれて』

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【アン・アースリー】(1)



 ワタシは、ぼんやりと目を覚ます。フカフカのベッドが、ワタシの背中を支えている。

 部屋の外から、ワタシを呼ぶ大声が聞こえてくる。日本語なまりの少女の声だったことから、なんとかヒナという少女だとわかる。初対面のときの件で、ワタシに何か言いに来たのだろうか?

「今行きますよ」
向こうまで聞こえていないだろうが、返事をする。
 そして、ベッドからゆっくり起き上がる。大声のせいで、昼寝から叩き起こされたらしく、眠気が押し寄せる。
「アンさん!!! 早く来て!!!」
ヒナさんの大声が、耳にドカンと届く……。
「今行きますよ!!!」
思わず強い返事をしてしまったワタシ。落ち着かなくては……。

 自室のドアを開け、自宅の廊下を歩く。この家は、神殿の中にある。大広間にある魔力岩を管理しやすいよう、玄関のドアは、そこにつながっている。また、自分が暮らしやすいよう改装するのは大変だった。島の人々が協力してくれたおかげで、費用を節約できたものの、いろいろと維持が大変だ……。

 ……そんなことはともかくとして、玄関のドアのロックを外す。
次の瞬間、手が飛び出してきて、ドアをバァンを全開にした。ホラー映画のワンシーンみたいだ。
「ダニエルを助けて!!! あなたなら絶対助けられるって、みんなが言っているの!!!」
ドアを開いた手の主であるヒナさんが、一気にまくしたててきた……。彼女の後ろで、ダニエルが仰向けに寝ていた。
 そのときの彼女の形相は、必死そのものだった。大事な友達を救うためには、身を捧げることもできそうだ。ワタシはレズビアンではないので、彼女の体などいらないが。


 ――どうやら、マリファナタバコの匂いを大量に吸ってしまい、気絶しているらしい。このまま放っておいても、たぶん翌朝には目を覚ますだろう。ただ、例の旧日本兵の件で、彼には借りがあるので、助けてあげることにした。
 この場合ならそうね。軽い毒気を抜く魔術で十分ね。ワタシは、持っていた杖の先を、ダニエルの顔に向ける。

 魔術を唱え始める。いつもように、光り輝く杖。魔術を初めて見たらしいヒナさんは、ただ驚愕していた。ポカンと口を開けた彼女の顔を見て、笑い出しそうになった。