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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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噂調査と女心



膝小僧の絆創膏はまだとれない。矢野七星は下駄箱で靴を履き替え、憂鬱な気持ちで教室に向かう。

(帰り道で転んだってことにしとこ・・・)

時計男に遭遇したことは、学校側にも秘密にしてもらっている。そんなことで話題の人になりたくなかった。

「七星、おはよう!」
「もう熱下がった?」

教室で迎えてくれた友人たちの笑顔にほっとする。いつもと変わらない日常が、ちゃんとここにはあるという安堵感。あの毒々しいくらいの夕闇の中だけが、自分の世界ではない。穏やかに生活できる場所が、ちゃんと自分にはあるのだ。

「もう平気だよ」
「あんたが休むとか珍しいからさ、心配したんだよ」
「ごめんね」
「そうそう、須丸がさー珍しく七星は休みなのかって聞いてきたよ」

紫暮の名前が飛び出して、心臓が少しだけ慌てるのがわかった。

「し、紫暮くんが?」
「うん。意外?いっつもムツカシイ顔してっから損なやつだよ」
「・・・そうだよね、優しいとこあるもんね」

優しくされたとか、一緒にいて楽しかったとか、七星が須丸紫暮を好きになったきっかけは、そういう甘酸っぱいものではなかった。

紫暮はいつもそう、難しい顔をしている。そんなイメージ。愛想がなく、屈託なく笑うところは見たことがない。かといってクラスで浮いていることもなく、それなりに上手に級友と付き合い、クラスではそこそこの地位にいると思う。成績だっていいし、運動だってできる。弓道部でも活躍していると聞く。さっぱりとした一匹狼気質なところが同性からは好かれているようで、友達も多い。