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CROSS 第21話 『Lieutenant』

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「それで、協力していただけるのですか?」
ヘーゲルはさっさと会話を終わらせたいという口調で、笑い続ける大使を促した。
「……協力しないわけにはいかないことぐらいわかってるさ。ウチの上層部からも言われているからな」
大使は、仕方なく協力してやるという口調でそう言うと、内線電話の受話器を手に取る。


「プラントに侵入するという話ですが、大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫だ。我々は、極秘の侵入任務についての訓練を修得している」
 自信満々なヘーゲルたちは、やってきた職員に連れられ、転送室にやって来た。転送装置は数台あったが、ヘーゲルたちが案内された転送装置は、まだ使えるようだが、埃だらけでここしばらくは使われていない様子だった……。さらに、旧型の転送装置で、他の転送装置へ同時に2人までしか転送ができないようだ……。ちなみに、CROSSの特務艦にある転送装置は、他の転送装置が無くても同時に多人数を転送できる。
「他のやつを使わせなさいよ」
佐世保が当然の不満を述べる。
「いや、プラントに転送できるのはコレだけなんです。この転送装置は旧型で、他の転送装置との間しか転送ができませんが、幸運なバグのおかげで、妨害装置の影響を受けないんです」
職員が弁明するが、他にもバグがあるんじゃないかと、ヘーゲルたちは不安そうだ。
「ちゃんと転送できるんだろうね?」
これは上社だ。
「それは保証します。ただ、あなたたちは3人だから、2回に分けて転送する必要があるわけなのですが、1回使うと長い充電が必要になるので、向こうでしばらく待っている必要があります」
職員がそう言うと、ヘーゲルが佐世保と上社のほうを向き、
「時間を無駄にするわけにはいかないから、私がここに残ろう。CROSSの指揮とここの海軍の連中を監視するためにな」
佐世保と上社だけを転送させることにした。
「大使は海軍ですが、私は外務省の人間ですよ」
職員がそう主張したが、ヘーゲルは首を横に振った。
「ヨソモノには違いないでしょう?」
「……まあ、それはそうですが」
「とにかく、私はここに残るから、この2人の転送をすぐに頼む」
「わかりました」

 職員は、転送の準備を始める。電源がついた転送装置は、機械音を発している。
「手がかりをできるだけたくさん集めてくるように」
ヘーゲルが佐世保と上社にそう言うと、武器と情報収集用機器を持った2人はうなずく。