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フリーソウルズ

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#4.姫君連合


#4.姫君連合



音楽スタジオスウェイド
店前に、比留間綾乃と牛神うららが人待ち顔で立っている。
綾乃はギターケースを抱え、うららはドラムスティックを持っている。
そこに、ひめと真凛が合流する。

真凛  「よっ、うらら。久しぶり・・・」

うららの尻に手を伸ばす真凛。
キャッと身をよじって真凛の手から逃れるうらら。

うらら 「セーフ。残念でした」
真凛  「いいじゃんか、減るもんじゃなし。俺のも触らしてやっから」

股関を突き出す真凛。
正拳を真凛の顔に寸止めするひめ。

ひめ  「やめなさい、真凛!」
真凛  「(固まりながら)挨拶だよ、挨拶」
綾乃  「相変わらずですね、真凛先輩は」
真凛  「綾乃は、まだちっぱいだな(胸を触る手つき)」
綾乃  「(不満顔で)真凛先輩はどうして男にならないのですか?」
真凛  「男になったらさ、女子高に通えないべ」
うらら 「サイテー」
綾乃  「右に同じです」
ひめ  「ごめんね、許してやって。こいつ根がスケベなオヤジだから」
真凛  「(媚びるように笑って)そういうこと」

街頭カメラが4人の姿をとらえている。



スタジオスウェイド防音ルーム内
ドアノブに練習中の札をかけてドアを閉める真凛。
扇状に丸椅子を並べて座るひめ、うらら、綾乃。
ひめから手渡されたタブレットで自分の顔を撮影する真凛。
変顔である。
4分割されたタブレット画面に4人のそれぞれの顔が写っている。

真凛  「送信するよ」

扇の要の位置に置かれたカホンの上にタブレットを立てかける真凛。
画面が暗転し、文字が現れる。
丸椅子に腰かける真凛とともに、画面を見つめるひめ、うらら、綾乃。

“CONNECTING・・・”
”APPROVAL・・・”
文字が消え、画面奥から白衣を着た人型のポリゴンが現れる。
ポリゴンは中世ヨーロッパの学者を模している。

ポリゴン「おはよう、姫君の諸君」

4人が声を揃えて返事をする。

4人  「おはようございます、レオナード」

ひめ  「早速だけど、レオ・・・」
ポリゴン「ひめの考えていることは読めます。スマホガンのことですね?」
ひめ  「狙いは定まらないし、ヤケドするし・・・」
綾乃  「ひめさん、ヤケドしたんですか?」
ひめ  「あたし、じゃないけどね・・・」

綾乃をチラ見する真凛とうらら。
“そうか・・”と呟き、俯く綾乃。

ポリゴン「改良するよう、アルに言っておきます。容量の少ないリチウム電池に負荷をかけすぎたことはわかっているので・・・」
ひめ  「お願いね。さもなきゃ二度と使わない」
うらら 「ひめを怒らせたら怖いよ、レオ」
真凛  「でもさ、ひめの追撃を振り切るって、相当な奴だね」
ひめ  「電車の運転手さんが死んだことが一番悔しい」
うらら 「ネットで見たよ。悲惨だった」
綾乃  「そのICチップを盗んだ犯人は、誰かわかったんですか」
ポリゴン「いいえ、まだ。絞り込んでいますが特定はできていません」
真凛  「ひめが追ったのに?」
ポリゴン「暫定で28人が候補としてフックアップしました」
真凛  「28人? 多くね?」
ポリゴン「彼らは必ず複数で動くので」
真凛  「騎士団のフリーソウルってことね」
ポリゴン「はい、騎士団のチェザルモです」
真凛  「フリーソウル」
ポリゴン「国際的に認知されている呼び方はチェザルモ」
真凛  「発音しにくいんだよな、チェザルモ」
ひめ  「私もチェザルモよりフリーソウルのほうが好きかな」
ポリゴン「好き嫌いで語られる話ではありません」
真凛  「俺はフリーソウルでいく。音楽用語でもあるし」
ポリゴン「どうぞ、ご勝手に。(ひめに)ところでひめ。どうでしたか、あの高校生?」
ひめ  「彼はまだ自覚していない。ギルスの段階ね。混乱している」
真凛  「ギルス? あいつもフリーソウルなの?」
うらら 「真凛、あんた一緒にいて気づかなかったの?」
真凛  「うん。まったく」
ポリゴン「彼、椿谷裕司が犯人である可能性は?」
ひめ  「ない」
真凛  「あいつが犯人? 絶対無理。ヘタレそうだから」
ポリゴン「言いきって大丈夫ですか?」

大きく頷くひめと真凛。

綾乃  「えっ、待って。誰の話をしてるんですか」
うらら 「綾乃は、まだ、聞いてなかったっけ」
綾乃  「はい」
うらら 「レオ、出せる? 彼の顔」

PC画面に裕司の顔が映しだされる。
コンビニの防犯カメラ映像から切りだされたもの。

うらら 「あたしと同じ第一農高の2年生。ひめから話を聞くまで存在すら知らなかった。それくらい地味で目立たない子」
真凛  「そう、どこにでもいそうな普通の高校生って感じ」
綾乃  「他校の男子高校生ですよね。ひめさんはどこでその男子と知り合ったんですか」
真凛  「(綾乃をにやけた目つきで)えっ? えっ? 気になるの、綾乃。そりゃそうだよな。琴和は女子校。気になるよなあ」
綾乃  「そんなんじゃありません」
真凛  「身体が疼くんだったら、この俺が・・・うっ・・・」

ひめのパンチが真凛の顔面に、うららの裏拳が真凛の下腹部にヒットする。
彫像のように固まる真凛。

ひめ  「(綾乃に優しく)今回の列車の一件があったあとね・・・」



椿谷宅(公団住宅)
小さな仏壇がある寝室六畳の鴨居には母志津子の普段着が無造作に掛かっている。
その部屋の押し入れの前に立ち、押入れの襖を見つめる裕司。
襖の取っ手に指をかける裕司。
玄関のドアが開く音。

麻衣子 「ただいま」

麻衣子が室内の様子を窺いながらトートバッグを置いてハイヒールを脱ぐ。
慌てて襖から手を離し、イヤホンを耳に押しこむ裕司。

麻衣子 「裕司、いたの?」
裕司  「うん。・・・俺、今から走ってくるから」
麻衣子 「えーえっ(驚嘆)。ちょっと裕司」

靴のかかとを踏んだまま玄関を飛び出す裕司。
公団の階段を駆け下りる裕司。
ギターのイントロが被さる。
ドラムとベースが加わる。



スタジオスウェイド
ひめがスタンドマイクを持って歌い始める。



市街地
国道沿いを走る裕司。
ビル街を駆け抜ける裕司。
スタジオスウェイドの前を駆け抜ける裕司。



スタジオスウェイド
間奏を弾く綾乃。
ドラムを叩くうらら。
演奏を聴きながら真凛に目配せするひめ。
歌い出すひめ。



川べりの土手の道
足取りが重くなっている裕司。
前方からヘッドライトがひとつ近づいてくる。
ライトが裕司の目に眩しく映り、目を伏せる裕司。
顔をあげるとすぐそばに古ぼけた三輪トラックが停まっている。
三輪トラックは片方のライトが切れている。
サトウキビ畑を貫く煤けた道の上。
陽炎にかすむ道の向こうはキラキラした夏空。
運転席から痩せた髭面の男が顔を出す。
軍帽を斜めに被った髭面男が裕司に指図する。

髭面男 「早く、荷台に乗れ。第六歩兵は全滅した」
作品名:フリーソウルズ 作家名:JAY-TA