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短編集『ホッとする話』

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 雪の降った今日、たまたま仕事が休みだった僕は母校の大学に足を向けた。20年経った今も景色は変わっておらず、芝生は真っ白い雪のシートをかぶっていた。あの時と同じだった。合格発表は既に終わっていて、キャンパスはひっそりと、静かな佇まいでここに来る人を暖かく包み込んでいる。
 そして僕は自分の分身を芝生の真ん中、ここから30メートルくらい向こうに立たせて見るた。すると彼は上を向いて涙を流したかと思うと、僕の方を向いて白い歯を見せて僕の方を真っ直ぐ見ていた。
「ありがとう!」
 僕は薄れかかる残像にお礼を言うと、彼は再び降りだした雪の向こうに消えていった――。

 雪を見ると思い出すあの時の未熟な自分。昔の僕は、今の僕にエールを送る。まだまだやれる、僕はそう思った――。

  『ある雪の日』 おわり