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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  5話  『少女との再会』

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ホントは恥ずかしいのに無理にでも恥ずかしい感情を抑え、必死に笑顔で平静を装うとしてくれる。…ホントいい子だ。
だから、そんなまどかちゃんに答えるため俺はその言葉に甘えさせてもらうことにする。

「そうか。じゃ、もうちょっとここにいさせてもらうかな。それに、さっきから俺暇だったんだ。よかったらちょっと話し相手になってくれないか?」

「あ、はい…。わ、私でよければ…」

まどかちゃんは、恥ずかしながらも嬉しそうな顔をしていた。
それから最初は恥ずかしそうにしていたまどかちゃんだったが、次第に話しに夢中になったおかげか段々と薄れ、いつも以上に明るく元気に微笑んでくれた。

たまたま寄った保健室だったが、まどかちゃんの笑顔も見れたので寄ってよかったな。
しばらくまどかちゃんとおしゃべりで時間を潰した。




「さて、まだまだ時間もあるし、こんな時にこそ生徒会にでも行くとするか」

どうせ今後行く機会なんてそうありそうもないし、行きたくないし。
まっ、暇潰しにでも顔でも出しとくか。
ついでに姉さんにも挨拶しておこう。

「そうと決まると、善は急げだッ!」

そう決意を新たにすると俺は、生徒会室へ向かったのだった。

-ザワザワ

「うわッ!何だこりゃあ!」

生徒会室が見えてきたところで俺はその場で呆然と立ち尽くしてしまった。
ナンデかって?…それは、生徒会室のまん前でむさい男どもで溢れているからだッ!
おそらく姉さんのファンクラブのみなさんだろう。

…っていうか他に理由がないしッ!

だって、頭には『ネオンLOVE』の鉢巻、シャツには姉さんのイラスト付で『ネオン☆ザ☆ファンクラブ』の文字、そして代表と思われる人物の手には旗が握られていた。

以上のことから、これはどっからどう見ても姉さんのアレな人たちにしか見えない理由となる。…まぁわかったところで全然意味はないのだが。

「しっかし、どうすっかな。これじゃ生徒会室の中どころか先に進めやしねぇ」

ここで俺が全員叩きのめして生徒会室にたどり着けたとしても速攻職員室行き決定だし。
このまま進んでも厄介なことになりかねんし…。
うーん。

「……………戻るか」

他にいい考えが思いつかなかった俺は、仕方なく別の場所で暇を潰そうと回れ右して今来た道を引き返す。何よりも面倒なことはしたくもないからな。平和が一番ってことだ。
…さらば、姉さん。フォーエバー。

と心の中で姉さんに別れを告げる。すると、

「…それじゃ、永遠の別れになっちゃうよ~。春くんってばひどいよー」

「おわぁッ!!」

突然、背後から姉さんに似た声がしたので、驚いてバッと振り返った。
…姉さんでした。

「オーバーすぎだよ春くん。私をまるで『ゆうれい見ちゃったよ!きゃあ~!』みたいな扱いしちゃってさ。ちょっと傷ついちゃうな」

姉さんはちょっぴり悲しそうな顔をして見せた。

「あぁ、すいません姉さん。でも、驚きますよ。突然後ろから声かけられれば…それにそれが生徒会室にいるはずの姉さんならなおのことです。…って姉さん、どうしてここに?」

「それがね~聞いてよ!私が帰りのHR終わってここに来てみちゃったらね。生徒会室の前にあんなにたくさんの人たちが集まっちゃってて、部屋に入れないの。あの人たちも別に悪意とか悪気があってっていうことはないと思うんだ。それで無理に追い返しても悪いなって思っちゃってね。だから、すご~く困っちゃって」

肩をすくめて、盛大にため息をつく。

「でね、どうしようかな~って悩んでた時に春くんがそこに…」

「なるほどね。姉さんってやさしいからそういうの苦手ですもんね~」

昔から自分には厳しい姉さんだったけど、俺や明日香には甘々だったからな。
…まぁ今も昔も全然変わらんけどな。

「だから、春くんさ、お願いがあるんだけど聞いてくれないかな?」

「大体、予想は付きますけどね…」

「さっすが春くんだ~!話わかる~♪お願いできないかな?」

「あ…あれを俺一人でですか!?それはちょっと…無理がある気が…」

だってよく見てみ!?何人いる??
ありゃあ軽く百人いるぜッ!!

そこに俺なんかが出てってもみろッ!!
いくら格闘技かじってるっていってもあれじゃ秒殺ですぜ。
…これでも俺に行けと?んなわけありませんよね?!

俺はちらりと姉さんの表情を覗き見てみる。
…いい笑顔ですね~。ゴーですか…ゴーなんですね!?俺に死ねとッ?!
そんな俺の怪訝な表情を見た姉さんは、突然、にやりと不敵に微笑んだ。
…姉さん、もしかして!?

「生徒会長の権限で命じちゃいます!春くん、あの人たちにお帰り願ってきちゃってください!」

「ちょいとお待ちをッ!しばしお待ちをッ!…姉さん、いくら会長兼従姉の姉さんでも会員兼身内の私めの身の安全を第一に…」

「ふふふ♪……却下します。生憎、私こと会長さんは面白いこと大好きだもんでね~♪面白ければいくら会員でも身内でも容赦しません♪えへっ☆」

不敵な笑みを浮かべていても、可愛らしい笑みを絶やさない姉さん。
あ…悪魔だ。いや天使か?

まぁどっちにしても結局はやらなけりゃならないわけですか。
…諦めよう、それしか今の俺には選択肢が残されてないようだからな。

「…わかりました。…行ってきます」

「よろしい~♪見事生きて帰ってこれた時は、お姉ちゃん特製グリーンティーを振舞ってあげちゃうよ♪」

「…はい。…それはすごく楽しみです。…『生きて』帰って来れたら是非お願いします」

俺は、生徒会室までゆっくりとトボトボと歩き出す。
周りから見たら俺は、学園を彷徨う亡霊に見えるに違いない。
そして、とうとう生徒会室に辿り着く俺。…あぁ、もうどうにでもなれだッ!!
後のことなんかもう知ったこっちゃねぇッ!!

俺の中の躊躇感が一気に崩壊し、俺はもう何も恐れるモノが消えていた。
すると、ファンの一人が、

「んん??何だね君は?君も我がネオン親衛隊の同志かね?それにしては身なりがなってないですな~。新人くんですかな?デュフフフフフ」

「あぁ?!身なりがなってないだと!?そらぁまんまテメェのことだろ?それに何だぁ?そのド恥ずいコスは!?馬鹿じゃねぇか?ここは一応学校だぞッ!危ない行動は慎めッ!ド阿呆共がッ!!」

「な…なな、なななな何ですとおおおぉッ!!わ、我らを侮辱する、それは我らのフェアリーエンジェル☆ネオンたんをも侮辱したのも同じ。ゆ、許さないですぞぉ~!!」

「はん!俺をどう許さないのか気になるが、まぁいい…。お前らを侮辱したかどうかは知ったこっちゃねぇッ!でもな、お前らがここに溢れかえってるせいで通行の妨げになってるんだよ!そこんトコ理解してるか?」

「そ…それは…。しかし、そんなことを言う権利が君にはないではないか!」

「あるんだよ!!俺にはお前らを取り締まる権利がなぁッ!!」

俺はビシッとファンクラブor親衛隊のやつらに指差す。

「ぶ、ブヒャッ?!あ、ああ、ああああんたのどこにそんな権利があるというのだッ!?どこに、一体どこにぃ!?」

俺の言葉に皆動揺を隠しきれないようであった。