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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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「……ええ、春休みと言えど、学生の本分としての」
 体育館の壇上で話している校長先生の話しなんて一体何人の生徒が本気で聞いているだろう……
 正直私も本気で聞いていない、いや、特に耳に入らなかった。それは何故かと言うと……
「………」
 私は左腕のブレスを見る。
 一週間ほど前、兄貴から『しばらく休む、連絡もできなくなって淋しい思いをするだろうけど泣くんじゃないぞ』って言って来た。
(あのバカ兄貴、子供言うな!)
 私は忌々しく心の中で思った。
 不破さん達も皆で休学しているらしく、里中先生に聞いても『極秘の任務』としか答えて来なかった。
 マンションに行っても扉には鍵がかかっていて、セイヴァー・ベースも物家の空だった。
 そのまま時が過ぎて終業式を迎えてしまった。

 終業式が終わり、私は自分の教室に帰って来た。
 HRが終了し、後は帰るだけとなった。
 すると松井さん達の話しが耳に入った。
「結局御剣君来なかったね。」
「アルバイトが忙しいんじゃない?」
「何だかつまらないね」
 竹里さんと梅沢さんが肩を落とした。
 兄貴はクラスでも人気者だからまるで火が消えたようだった。
 多分2組もそうだろう、不破さんはアイドル的存在だ。4組はどうか分からないけど、3組は涙を流して喜んでるのが目に浮かんだ。
 私は早々と荷物を纏めると教室を出た。
 
 それからさらに数日経った。
 もうすぐ3月が終わろうとしているある日、私は塩田さんと再び駅前のデパートへやって来た。
 以前してあった私の服を買う為だった。
「私に似合う服ってあるんですか?」
「勿論ありますよ、白金さん可愛いんですから、もっと自信を持たなきゃダメですよ!」
 塩田さんはまるで自分の事の様に力説する。
 とは言え今回はあの時みたいにはならないだろう、見知らぬ人に声を掛けられたら断るし、その気になれば無視すれば良いだけの事だ。
 私達がデパートに入ろうとした瞬間だった。
「きゃああぁぁああ――っ!」
 私達の耳にけ悲鳴が入った。
 振り向くと少し離れた所で私達と同じくらいの女の子が倒れていて、1人の髭を生やした黒いジャケットとニット帽とサングラス、下はジーンズにスニーカーと言う姿の男がこちらに走って来ていた。
 どうやらひったくりらしい、しかも最悪な事に私達の方に走って来ていた。
 すると塩田さんが私の前に出た。
「白金さん、下がってください」
「どけどけ!」
 男は塩田さんにお構いなしに突進して来た。
 そして有ろう事か女である塩田さんの顔に向かって拳を振りかざした。
 男の風上にも置けない奴だ。
 だけど塩田さんはそれを軽く交わすと身を翻して左手で男の手をつかみ、右手で胸倉をつかむと上半身を大きく折り曲げた。
「はあああっ!」
 塩田さんが叫ぶと男の体が宙に舞い、弧を描きながら地面に叩きつけられた。
「がはぁ!」
 塩田さんの一本背負いが見事に決まると男は体を仰け反らせて気を失った。
 そう言えば柔道習ってたんだっけ…… 私も周囲の人と同様に呆気にとられていたが、塩田さんが目を吊り上げた状態で私に振り向いた。
「早く警察へ!」
「は、はいっ!」
 私は少々怯えながら頷くとスマホを取り出した。