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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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星よりも儚い 神末家綺談1

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神の花婿



ねっとりとした夜闇が横たわっている。虫の音を聴きながら、夜の縁側に一人座っていた瑞は、すっかり明かりの消えた目下に見える村を見ていた。

この小さな村を治めるのは、神末(こうずえ)家のお役目。
神と婚姻を結び、それと引き換えに大きな力を得ている一族。人生と命を村に捧げる使命。

(こんなちっぽけな村のために)

不自由だと思う。穂積も、跡を継ぐ伊吹も。
そして、自分もまた檻に囚われていることを、瑞は知っている。

「ん?」

視界の端に動くものを捕らえ、瑞は目をこらした。小さな背中が、村へ続く石段のほうへ消えていく。

「夜遊びとはとんだ不良だこと」

立ち上がり玄関へ向かう。あれは伊吹だ。大方昼間話していた「秘密」を実行しようというのだろう。夏休みを前に浮かれた小学生が考えそうなことだ。

だけど伊吹はまだ知らないだろう。
夜闇の怖さを。そこに潜むものの存在を。