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ihatov88の徒然日記

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153雨の日のハナシ



 ウチのオカンは昔から聞き取りが苦手で、よく聞き間違えるんですよ。聴力がないわけではないのでしょうが、あの人の耳を通すと違うものになってしまうのです。

 先日もカプサイシンの話になった時!オカン耳フィルター通したら『カプシンさん』になってました。誰やねん、それ。
 まぁまぁいつもの事なので、本当に伝える時は書けば良いわけですからこれまでイジリはしても問題にはならなかったのです。

   〜 〜 〜

 して、先日。
 ウチのムスメ(高校生)に金がかかるので、八馬銀行がピンチになったんです。
「いつまでも、あると思うな、親と金」
と言いながらも、プレゼン考えて実家に融資のお願いをしにいった訳です。ちなみにプレゼンって言ったらオカンは『プゼレン』って何や?、と聞き返してましたが。

 いざとなるとなかなか言い出せない八馬。そりゃそうさ。借りるということは返さなきゃなんないんだもん。そんでもって、いつになったら返せるのか確証がない。
「あのー……」
「何かいな」
焦らしたところで変わらない、ここは思いきれ八馬。

「ムスメが来年受験するので、今から少しカ○貸して欲しいねんけど(←でも声が小さい)」

「ええで、ただしちゃんと返してや」
意外に早い反応、これは孫のためという特典か、もしや?

 しばらくしてから玄関に案内され……
「どれでも好きなの持って帰ってよ」
「――!」

 ――そうや、オカンは聞き取りが上手やなかったんや。
「……これは、『カサ』やんか」

「アンタのこっちゃから、今日は傘忘れたんとちゃうの?」
 うーむ、間違ってない。確かに来るとき降ってなかったのに、今現在降っている。
「ほな、コレ借りるわ」
「ちゃんと返してや」
「はいはい……」

 前フリでムスメの受験とか言ってるのに、その辺聞こえていない。受験と傘、つながらない。いやー、恐るべしオカン耳フィルター。

 交渉に失敗したのは言うまでもありません。
 
作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔