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魔王様には蒼いリボンをつけて ーEpisode1ー

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「うっそ、イケメン!」

 カリンが小さく叫んだ。
 ああ、カリン。きみはこんな悪魔がいいというのか。俺というものがありながら……とよくよく見れば、黒いフードの下にあるのは端正な顔立ちの美丈夫。白い肌と切れ長の紅いい瞳は女だと偽っても通用してしまいそうだ。

 これが、魔王?
 何処ぞのホストクラブにでもいそうな顔じゃないか。こいつが熊王カイザーベアーや紅蓮の聖剣士ウィンドショットを再起不能にしたと、そう言うのか!?

「恥ずかしい名前っすね」

 あの異形の失笑が聞こえる。
 ああ、そうだとも。俺だって厨二病全開の恥ずかしい異名だと思ったさ。
 でも名前はともかく奴らが群を抜いて強かったのも事実。そして彼らがこのマスターランク「悪魔の城」の攻略に失敗してプライドをずたずたに引き裂かれ、剣を置き田舎に引き籠ってしまったことも事実。
 奴らをそうさせるなど、魔王というのはどれ程のものかと思ったら。

 いや。

 勇者は目どこ開いた。
 この顔、何処かで見なかったか? どこか、つい最近。
 ノイシュタインという此処の近くにある田舎町に到着し、女どもを引き連れて町に入って。人々にそれとなく悪魔の城の情報を聞いて回って。
 それで……。

「忘れろ。お前たちは何も見なかった。ただ、負けた。それだけだ」

 魔王の双眸が紅く光る。
 駄目だ。この目は見てはいけない。勇者は必死に目を閉じる。視界が暗闇に閉ざされる。

 そうだ。この顔は――

 暗闇の中で、ザザ、と何処からともなく音が近づいてくる。
 これは波の音だ。そう言えばあの町は海が近かった。そのせい……いや、違う。此処は悪魔の城。海どころか山の中腹にある城。津波が来たって、この城まで波が寄せることはない。

 それじゃ。
 それじゃ、この音は。


 ザザ。

 暗闇の中を近づいてくる音は、あっという間に勇者を呑み込んだ。