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ゾディアック 2

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「 修道女だ!あんたの彼は前世修道女だったよ。あんたの帰りをずっと待ってた!! 」
私が言うと カヨの瞳から涙がこぼれた。

その時 携帯が光り、ナアナから
「マリオン、何故か今 ゴンチャス巡礼のポスターが目の前にあるよ」とメールが来た。



~ 10 ~


人の本質は魂の記憶だ
形として現れるものは
全てその表現にすぎない

様々な時の景色
様々な形の姿
様々な名前の響き

様々変容しても
同じ光で回りながら 再び魂は語り始める


アイがいつもあなたと共に
アイがいつもあなたと共に・・



「 私は・・ 聖堂騎士・・ 」カヨは私を見ながら 何処か遠くを見つめていた。
「 あんたはその時 修道女の元に帰れなかったんだね・・ 」私は言った。
「 私は 彼の元に帰れなかった? 」カヨの瞳から涙が次々こぼれ落ちた。

「 あんたは 瀕死の重傷を負っていたようだ・・ 星を目指して歩き続け
彼女の待つ場所へ向かっていたけれど、途中で死んでしまったんだよ 」

「 彼が私を信じれないのはそのせいなんですか?私が戻る約束を果たせなかったから・・
彼は腕に十字架を刺れています! 」カヨは泣きながら私の腕を掴んだ。

「 今世はその時の続きなんだね。果たせなかった約束を守るために
彼は信じるを果たし、あんたは彼の元へ還り愛するを果たすんだ 」
私が言うと、カヨの魂がこれまで封印していた慟哭を吐き出すかのように 咽び泣いた。
何百年という時を超えて。

「 何故か今 ゴンチャス巡礼のポスターが目の前にあるよ 」ナアナからのメールもその事を物語っていた。
巡礼の旅は 中世の時代、聖堂騎士団によって守られていたと聞いた事がある。
ナアナとカヨは全く面識が無いのに凄いと思った、人の魂はきっと何処かで繋がっているのだ。

客が来たので 私はボディセラピーに入った。
コーラルのカーテンで仕切られた薄暗い部屋にはアロマランプが灯り、
横たわる客の身体は・・ まるで月明かりの下に浮かび上がった人魚のように見えた。
流れるヒーリング音楽の波の音、甘くスパイシーなアロマの香りに包まれ
私は 遠く海を越えてやって来たという 女神島の南海観音を思い出した。女神の化身といわれる

深い陶酔の中で 目を閉じボディを感じた・・
「 菩提てボディと同じ音してる・・ ボディは人間の身体だよね 」ナアナが女神島で言った言葉を思い出した。

煩悩即菩提 喜びも悲しみも味わい尽くせ・・
感情は判断するものでなく味わうもの。味わい尽くす人間の人生自体が菩提。あの時誰かが言っていた・・

「 そう、私達は人間というこのボディに閉じ込められた振動だ! 」思わず出た自分の声に驚き我に返った。
客はピクリとも動かない、眠ってるようだ。私はホッとした


「 月は心・・ 魂を映す鏡・・ 」


客が言ったのか? うつ伏せに寝ている客の顔を覗いてみた・・ 眠ってる。
見ると、客の身体の上に コーラル色に薄く輝く女神の姿が現れた。
さっきカヨに見えた映写機の画像と同じ ホログラムのようだった。

女神は 天女のような羽衣を纏い まるでスローモーションのように風に棚引いていた。
夢の中以外で現実にアセンデットを見るのは これが初めてだった。先程のカヨの前世といい・・
クマラのオイルをつけて これまでよりもはっきりと不可視を感じるようになっていた。
起きている時と眠っている時の境界は曖昧になり・・
催眠状態や多次元に移行している状態が増えた。

カラスが12と鳴いた日・・ 12番目のアセンデット、クマラが現れ導く。
1年12ヶ月を・・ 何百回・・何千回と廻りながら、人の意識次元に
一つのサイクルは終わり 新しい時が始まろうとしていた。

月灯りのような柔らかい光の中で 女神は優しく微笑み

「 月は心・・ 魂を映す鏡・・ 」と言った

正確には「 言った 」と感じただけで、口びるは動いてなかった。
声はダイレクトに眉間から私の脳に響いて来た。
私の概念は それを追っかけ
「 月は感じる心で 見えない魂を映す鏡。アイの為に・・ 」と訳していた。

ボディセラピーを終え バックに戻るとまたナアナからメールが届いていた。
「 凄いよマリオン!メリエスさんって、天使と話せるんだって。チャネリングセッションがあるから受けてみようよ! 」
「 凄い!! 」私はナアナの言葉に 期待で胸が高鳴った。
でも、何かを 思い出せないでいた。大切な何かを・・



~ 11 ~


人は 何処から来て、何処へ向かおうとしているのか
分からないまま 1つの扉が閉まると、1つの扉が開く



黒い髪の人魚が、岩の上に腰掛けハープを奏でていた
白い指先が 弦を爪弾くと、虹色の泡が生まれて
淡い空へと浮き上がってゆく
美しい音色に乗って、幾つも 幾つも
何処か遠い所へ 流れて飛んでいった

人魚の長い黒髪が 顔にかかって見えない
私は 人魚の顔を見ようと前に屈んだ
その瞬間に目が覚めた。

「 もう少しだったのに・・ 」ベットに起き上がり呟いた。
美しい夢の余韻がまだ残っていて 気分がとても良かった。
今日は ナアナと一緒に、チャネラーと呼ばれる女性の家に行く日だった

待ち合わせの場所に迎えに行くと ナアナが車に乗って来た
「 ほんとに凄い人なのよ!その人に会った途端 アリエルが現れたの! 」
ナアナは興奮して語った。
「 凄いね!でも ナアナにビジュアルで天使が見えること自体 凄いと思うよ・・ 」私は言った。
「 荘厳な姿で とても言い表せない程 美しかったわ! 」ナアナはうっとりしていた。

アリエルはナアナを媒体に現れる・・ だからナアナにそれが見えたとしても当然かもしれない
ある意味、アバターとして使われるナアナは アリエル自身だから
私は言おうとしたが・・ 上手く伝えられずに黙った。

メリエスというチャネラーの女性は 長い黒髪の美しい 明るく朗らかな人だった
「 よくいらっしゃいました。どうぞこちらへ・・ 」通されたテーブルには
白い陶器の女神像と水晶やローズウォーツのクラスターが置かれていた

「 これは、私にご縁のある女神島の女神様なのよ。いつもメッセージを下さるの 」微笑みながら答えた
私は驚いた。女神島!確かにシンクロしてる!この人なら私達に起こっている事を理解してもらえるかもしれない。

「 女神は 愛について語ってきます。私達がこれから学ばねばならない事を教えてくれます 」メリエスは言った
「 これから私達が学ばねばならない事って・・ 女神は何て言ってるんですか? 」私は聞いた。
「 じゃあ、セッションしてみましょう」メリエスは私とナアナの手を取り テーブルを囲んで座り 静かに目を閉じた

「私の後について繰り返して下さいね、そして見えたり聞こえた事を言ってください」そう言うと
「聖なる女神 ここに来て輪の中に入って下さい。あなたの愛のエネルギーで満たし ここにいる者達を祝福して下さい・・ 」
私とナアナに繰り返すよう促した。
「 聖なる女神・・ 」私は言いながら可笑しいのを堪えた。

「 さあ、何が見えますか? 」メリエスは真面目に私達に聞いた。
作品名:ゾディアック 2 作家名:sakura