Bhikkhugatika
獅子吼
彼は、自分が近いうちに滅びることを刹那も忘れることがない。彼は、過去に生き、滅びた人々について学んで知ったので、生に微塵ほどの妄想も抱いていない。
彼は、生の意義を問うことがない。過去に生きていた人々が、世代から世代へと繋げてきた行為と遺志を、学んで知ったからである。
彼において自らの生は、父母祖たちの生の精髄である。ゆえに彼は、自分を自分ひとりが所有していると見なして自分にこだわることがない。
従って彼には、甘えも、怠惰も、憎悪も存在しない。自分ひとりの力ですべてを思い通りにできると高慢になずむこともないので、悲観することがない。
彼は、自分にできる善を楽しみと共に行為する。憂いがないために怠るところがなく、怠るところがないために、自分が滅んだのちには、次の世代の人々が、自分が繋いだ善の伝統を受け継いでくれることを、いささかも疑うことがない。
そこで彼は、自分の生を全宇宙に獅子吼して、臆するところがない。
作品名:Bhikkhugatika 作家名:RamaneyyaAsu