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D.o.A. ep.44~57

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Ep.51 レオンハート−1−




「……あいつに、会ったぁ?」

まだ薄暗い早朝、川で顔を洗っていたライルは、手渡されたタオルを取り落とした。
まじまじとジャックの全身を凝視する。怪我は、していないようだった。
「よく、無事で…」
「いや、危険なんて夢にも思わんよーな静かな時間すごしましたわ」
「ああ、嫌われてんの、俺だけだった……か」
ライルとて、レオンハートの見目はキライではない。
どころか、こんな関係でさえなければ、瞳をらんらんと輝かせていつまでも見つめていたいほどだ。
最近、恨まれる覚えがなにもない相手から憎まれてばかりで、ライルは時折正直、泣きたい気分に襲われる。
「俺はキミのコト好きやで、いつもおいしいご飯ホンマにありがとうなあ!」
「うん、あんたの中で俺の価値はおさんどんだってわかった……」
能天気ななぐさめに、多少の脱力を覚えつつも、落としたタオルを拾いあげて顔をこすりつける。

「ところで、あいつ……レオンハートのコトだけど」

アントニオ船長は、はっきりと、レオンハートを宝石であると口にした。
毛皮でも肉でも牙でもなく。
あの時は衝撃のあまり、反論もわすれるほどだったが、一晩明けて考えてみた結果、おそらくガセネタをつかまされてきたのだろう、と解釈するのが自然だった。
「なんにしても、一刻も早くあんたのとこのボスに事情を説明したほうがいいと思う」
「うん…せやんなぁ」
「その結果、宝探し中止ってコトになっても、レーダーに反応があったら調べてみたいから…勝手で悪いけど、待っていてくれると、助かる」
「それは、俺からも頭下げて頼んだるよ、まかして」
ジャックは自分の胸を軽く打つと、そう請け合った。







「おい! 傭兵さん! …しっかりしてくれやーッ! こんな時のためのあんさんやろ!」
アントニオ船長のもとへ戻ると彼は、おぼろろろろ、と海へ嘔吐する男をはげましていた。
「あの程度の飲酒でこの体たらくとは、ホンマなさけないですわ」
辛辣に評するのは、予想したとおり、あのエルマンである。
もっとも、吐くことに必死になっている男には、両者ともの言葉が耳に入っていないようだった。
確か…記憶が正しければ、昨晩の宴で見たことがある。
ジャックに怪物の話をされて、返り討ちにしてやると高笑いしていた男ではなかったか。

「…アカンな。二日酔いでしばらく使いモンにならんみたいや」
ため息をついて、アントニオ船長は肩をすくめる。
「で?エル、レーダーの結果でたんか?」
「ええ、けど妙なんです。魔力の反応はあるんやけど、移動しとるんですわ」
「移動? それ、俺らの誰かとちゃうん」
「いえ、ぼくら海岸沿いにかたまってますから。昨日の夕方くらいから、島の中心を明らかに動いとりました」
「ふうん。 …なんや、ここ無人島やなかったんか?」

動いている、魔力の反応。
もしかすると、リノンではないか。そんな希望にライルは息を呑む。

「お。 おはようさん! 朝メシ食うたら宝探し出発するさかい、そのつもりでな」
ライルとジャックに気がついたアントニオ船長は、軽く手を振って笑いかけてくる。
この様子だと、すっかり準備はととのっているのに今更言うなとお叱りを受けそうではあるが、仕方があるまい。
「おはようございますう。 船長、そのお宝のコトなんですけど、……折り入ってお話が」
ジャックがおずおずと申し出ると、彼は首をかしげていぶかる。
「……実は」

―――――と、その時、岩場のむこうで、するどい悲鳴が上がった。
「!!」
「今の、おじょ、」
女はネイアしかいないはずで、そのことを誰よりも早く把握したアントニオ船長は、わき目もふらず駆け出した。







作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har