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CROSS 第20話 『Eris』

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【時間軸】…異次元暦42733年 12月15日 昼前
【場所】…異次元空間
     CROSSの特務艦 ブリッジ



「このイス、ダサ〜い!!!」

 このハイテンションな声がした次の瞬間、ブリッジの山口のイスがこっぱみじんに破壊された……。イスがあった所のすぐ近くには、金髪で赤い目をした10歳ぐらいの美少女がいた……。
 その少女は、フランドール・スカーレットという名前であった……。彼女は、紅魔館のレミリアの妹で、恐ろしい少女だった……。

「スカーレットさん、このイスはテレビやビデオを観ることができますよ」
ウィルは、通信席からフランが座っている山口のイスのところへ行き、イスの個人用モニターをオンにした。モニターには、他の世界や異次元空間でも視聴可能なチャンネルのテレビ映像が映し出された。
「すごいすご〜い!!!」
フランはそう言うと、テレビに集中し始めた。ブリッジにいたウィルやガリアたちは、彼女の落ち着いた様子を見て、心の底からほっとしていた……。
 このとき、特務艦には、ヘーゲルと佐世保と上社は乗っていなかった。なぜなら、彼らは、また行方不明になった山口を探しにいったのだ。そのため今は、ガリアとウィルが、CROSSの指揮を代行しているのだ。CROSS艦の代理指揮官はガリアがこなし、代理副長はウィルがこなしている。
 フランがここにいる理由と、ガリアとウィルたちがこれから何をしようとしているかについては、次の回想シーンでお教えする。



【時間軸】 … 異次元暦42733年 12月14日 昼過ぎ
【場所】 … 異次元空間
       幻想共和国軍戦艦『紅緋』 ブリッジ

 ヘーゲルとガリアとウィルと佐世保と上社は、レミリア御自慢の軍艦の豪華なブリッジにいた。レミリアは、ブリッジの後方にある豪華なイスに座っている。
「私とそっちの軍とで共同運用している極秘の研究所があるんだけど、そこがプラントのザフトに襲撃されちゃったのよ」
レミリアがさっそく頼みごとを言い始めた。世間話ではないことぐらいは、誰にでもわかることだ。
「そこを我々が奪還しろということですか?」
山口の代行を務めるヘーゲルが、顔色一つ変えずに言う。
「当たり前じゃない! 何人かは山口探しに出かけていいけど、研究所の奪還を優先しなさいよ」
「しかし、我々には対モビルスーツの武器がほとんどありません」
「安心しなさい。私の妹を助っ人として貸してあげるから」
「え?」
これはウィルだ。
「フランを臨時のCROSS隊員として、任務に参加させてあげるって、言っているのよ!」
「しかし、我々の命令に従ってくれるのですか?」
「大丈夫よ。任務は、敵を皆殺しにすることなんだから」
「…………」
「これが任務の詳細です」
咲夜はそう言うと、数枚の書類をヘーゲルに手渡した。
「目的の世界の近くには、ザフトの軍艦がたくさんいるんだけど、それはこっちでなんとかしてあげる。さて、フラン、入ってきていいわよ」
フランドール・スカーレットが、ブリッジにやって来た……。