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文が痛い

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マコ



 昨日、家に帰ったら父と母が居て(普通当たり前なんだろうが)びっくりしました。マコが何も言わず、両親を面倒くさそうに見ていたら、また一緒に住む事になったからと父が言った。マコは知っているくせに「聞いてない」とぼそっと言うと、父が母に「言ってなかったのか」と言う。母は「あなたが言うと思った」と、二人で言い合いになったので、マコは自分の部屋に入ったの。先がおもいやられるわ、あの二人。

 それでね、今日は遅いけど、明日は一緒に食事をしようだって。マコはというと、両親と一緒に食事かあ、ああ面倒くさいのはイヤだなあという気持ちと、内容はともあれ人並みの家族になったんだあという安心みたいな気持ちだった。
 そして今日ね、お好み焼き屋で妹も一緒に食事したの。妹がいてよかったあ。妹のおかげで家族の会話がなりたったもんね

 父は、もう50を過ぎているので再就職は難しいが、がんばって探すよだって。しばらくは失業保険が出るらしい。
 マコは(おいおい、大丈夫かよ)と心でいいながら、顔も見ずにお好み焼きを食べていた。ビールも飲んだし、まあいい気分だった。
 母は妹のことを父にどう説明したのやら……何も話題にのらなかった。意識して避けているのかな、どうかしらね。

 父がマコに聞いたのは、勤め先と給料の額だった。母は感情を表に出さないし、言葉も少ないのでどれだけ嬉しいのかはわからない。お酒ものめないしね。話が昔の景気のいい頃の話になって、嬉しそうに家族で温泉に行った時の話をした。
 父がこの家にいる今、マコにはかえって孤独に思える。どうしてだろうね。カズは一人ぐらしだよね。孤独って感じないの? 
 カズ、声が聞きたいような…… 電話ないんだよね。
 このまま外に出て、ずうっと歩いていきたい気分。どこまでも……東京?

 いつのまにか完全に秋になっちゃったね。秋はバラードが心にしみる。なあんて、コルトレーンのバラードをかけたが、うーん、ちょっと今の気分に合わないわ。
 アーチーシェップかけたよ。あたたかくて、力強くて、官能的? いいねえ、ジャケットの顔写真怖いけど(笑) そういえばカズにもそんなふうに感じるなあ、官能的ってとこは唇、ふふっ、恥ずかしいわ。あ、顔は怖くない怖くない。写真に口づけして……  
 おやすみなさい。

作品名:文が痛い 作家名:伊達梁川