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一緒にゲーム作りませんか?

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 オレはオタクなんて何回も言われてるけど今回はズッシリと重くのしかかってきた。
「ゲームやる奴なんて所詮ただのオタクだろ、それが作る側に回る事自体が間違ってるって言うんだよ」
 オレ達の間に沈黙が走る、仁さんはオレのノートに目を向ける、
「今見たけれども所詮はオタクの考えた設定でどこかでみたようなのばかりだが…… それでも使える可能性があるなら使ってやろうって言ってるんだよ、才能の無い人間が何人集まった所で優勝できる訳がない、時間の無駄だ」
 オレは段々腹が立ってきた。
 必死で試行錯誤で作っている人達への侮辱だ。
「そんな事無い、オタクでも何でも頑張れば面白いゲームが出来る、何でそんな事言うんですか?」
「面白いゲーム?」
「そうですよ、貴方もゲームが好きなんでしょう? 何で物みたいな言い方するんですか?」
 オレが聞くと仁さんは眉間に皺を寄せた。すると口の端を上に上げると声を上げて笑い出した。
「はははははっ! 面白い事を言うんだな、何で物みたいな言い方? 物だろどう見ても」
「そ、そう言う意味で言ったんじゃない、確かにゲームは機械だけど…… でも仁さんはゲームは……」
「それはもちろん、売る側が商品を嫌いじゃどうしようもないだろ、違うのか?」
 すると仁さんは湯飲みを持つと中の茶をグイッと飲み干した。
「良い事を教えてやるよ、ゲームなんて所詮売れれば良いんだよ。いくらストーリーや凝った設定を作ったところで買うのはオタクか引きこもり、しかも一回やって終わりの奴が多い、それならどんどん売って設けた方が利益になるし会社も大きくなる」
「会社? 自分で立ち上げるって奴のか?」
「いや、自分で会社を上げる何て莫大な費用と人手がかかる、そんなの馬鹿じゃないんだから考えれば分かる…… それよりもっと確実で安全なやり方があるだろ」
「確実で安全?」
 すると仁さんは口元を歪めて言った。
「……手に入れりゃ良いんだよ、会社その物をな、婿養子になれば会社も権力も思いのままだろ?」
「まさか……」
 そこまで言われて分からない奴はいない、こいつは来栖さんと会社を手に入れるつもりだ。
「僕はこのコンテストで好成績を収めて聖子を手に入れる、そうすればプラネットは僕の物だ。その為なら障害があるなら例え小さくても廃除する、それが例えオタクであろうともな」
 性根まで腐ってる……
 オレは許せない、まるで会社が狙いで来栖さんはついでみたいな言い方しやがった。
「そんな事させない!」
「はぁ? 何言って…… ははぁ、そうか」
 仁さんはククッと笑うと顎に親指を当てた。
「お前も聖子狙いか。こりゃ傑作だ。所詮同じ穴のムジナて事か」
「違う! 来栖さんが言ってくれたんだ! オレはゲームで友達を作ったって、オレはその気持ちをみんなに伝えたいだけだ!」
「ゲームで友達? はっ、くだらない」
「く、くらない? くだらないだって?」
「ああ、そうだよ、お前が言う友達なんて、所詮ゲームがやりたくてお前を利用したバカなオタク連中だろ?」
「なっ……」
 オレは目を吊り上げた。
 鏡を見てないから分からないけど、大体どんな顔をしているのかは分かる、
「ふざけるなっ!」
 オレはその瞬間頭に血が上った。
 確かにオタクだし、バカだけど一つだけ許せない事がある。これは怒られずにはいられなかった。
「……オレの事はどうでも良い、だけど仲間の悪口だけは許さない!」
 すると仁さんは鼻で吐き捨てた。
「所詮は子供だな、そんな事でムキになるなんてな……」
「子供でいい、今の言葉を取り消せ!」
「取り消せも何も事実なんだからしょうがないだろ、それをどうやって……」
「とり消せって言ってんだよ! 聞えねぇのかっ!」
 オレが罵倒すると央真さんは並びは少し悪いが白い歯を見せた。
「分かったよ、そこまで言うなら賭けようぜ?」
「賭け?」
「そうだ。今回のゲームコンテストで僕のゲームより評価が上ならお前の勝ち、その時は頭でも何でも下げてやるよ、だけどもし負けたら聖子の事は諦めて金輪際近づかない、それでどうだ?」
「……な?」
 来栖さんに近づかない?
「何だ。怖いのか?」
「なっ、誰が…… って言うかそれは無理だ。同じ学校に通ってるんだから顔だって合わせる」
「転校しろよ、学校は紹介いてやる、オタクに相応しいクズ学校をな」
 本来クズなのは学校じゃなくてこんな男なはず、
 だけど今のオレに答えられる言葉は……
「……分かったよ、オレが来栖さんの前から去る、約束だ!」
 オレが言い切ると央真さんは両手をポケットに入れて立ち上がった。
「その言葉確かに聞いたぜ、現実って物を教えてやるよ!」
 するとその時だ。ノックする音が聞えると供に扉が開いた。
「ごめんなさい、電話が長引いちゃって…… ってあれ?」
 事情を知らない来栖さんは険悪なムードになっている部屋の空気に顔を引きつらせた。
「えっと…… 何かあったの?」
 オレはこのまま事情を説明してもいいと思った。だけどそれは反則だ。
 そう考えていると口が開いたのは央真さんの方だった。
「いや、別に…… それよりそろそろ御暇しよう」
「えっ、もういいの?」
「ああ、用も済んだし…… 彼も色々忙しいみたいだしね」
 表情こそ笑っているがオレを見るその目はまるで汚物をみるかのようだった。
「じゃあ勇君、今度のコンテストを楽しみにしてるよ」
 楽しみなのはコンテストじゃなくてオレを潰す事だ。だけどそんな事はどうでもいい、仁さんは来栖さんの背中を押しながら部屋を出て行った。
 2人が家を出たのを確認すると今までオレの中でくすぶっていた怒りが一気に爆発した。
「クソッ! クッソォーっ!」
 オレはジレンマだった。
 それはオレが馬鹿にされたからじゃない、来栖さんや一緒にシナリオを考えてくれた香奈やつかさちゃんが馬鹿にされたみたいで悔しかった。