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太陽のはなびら

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【言葉の世界が紡ぐ言霊(6)】



ベッドに横になってからどれくらいの時間がたったのだろうか。
数時間たった気もするし、たった数十分しかたっていないような気もする。

豪雨だった雨は、次第に小雨になってきた。
シンはバッグからペンと紙を取り出して、
リュヴリュに雨宿りをさせてくれたことについての感謝の言葉と、
もしかしたら老人は自分が住んでいた村にいるかもしれないからそこを尋ねるようにと手紙を書き、
封筒にその手紙と、村への地図を同封した。

今彼女は調べものに夢中だ。
あまり邪魔をしたくない。
今は雨も殆ど小降りだ。
出発するのに支障はない。

ただひとつ、リュヴリュの今後について気になるが、
きっとピリカさん達なら快く迎え入れてくれるだろう。
自分のできることはここまでだ。
こんなことしかできないのは心苦しいけれど、
こんなことしかしないのが、
逆に一番いい事なのかも知れない。

リュヴリュはとてもいい子だ。
でも、これ以上自分と一緒にいたら彼女も不幸になる。
人の心が読めるようなヤツと一緒にいたら、彼女までとばっちりを受けるだろう。

窓の外を見る。空が少しづつ白んできていた。
シンはベッドから起き上がり、ヒューイを肩に乗せて、静かにドアを開けた。

作品名:太陽のはなびら 作家名:伊織千景