故障
繁華街
大手家電店、ブランドショップ、外資系スーパー、プレイゾーン、有名チェーン店、行列の出来る美味しい店など、様々なプレイスポットが２駅分ほどの距離で並ぶこの長い通りは、県下でも最大の繁華街。週末ともなれば若者で賑わい溢れるのだが、この日は平日で人通りも少ない。
この繁華街の本通りから横道にそれて少し歩くと、ひと昔前までは本通りであった少し寂れた通りに行きあたる。寂れた通りには古びた主人が古びた店を構えており、店の棚にはいつ入荷したのかも定かではないような埃の被った品物の数々が陳列されている。本当の掘り出しものというのは埃が被っているものだと、この裏通りの常連達は言う。だからこそ掘り出し物なのだと。常連達のそんな拘りは、この通りの店主たちの商売心を疼かせる。
そんな古びた裏通りと本通りの２つの通りには５０メートル程の間隔で横道が走り、新旧の通りを結んでいった。
この横道には風俗店などが散らばっており、それらの風景はどこの街でも似たり寄ったり。この街にも男の欲求を様々な方法で処理をしてくれる店が乱立した。風俗店の入り口というのは決まってイカガワしいもので、入るのに躊躇してしまうものなのだが、２度、３度も潜り抜ければ慣れてしまうから不思議なものだ。
この街に数知れず点在する厭らしい扉。その扉の一つから、原色の派手な服を身にまとった女が足早に出てくる。女は人通りの少ない旧本通りに向かう。その筋を横断すると、更に寂れた細い道に抜けて行った。