出会いは衝撃的に(前半)
翌朝は雨が降っていた。風もあった。傘をさして駅まで歩き、電車で昨夜の病院まで行った。腰が痛いので駅から病院までの坂道が辛かった。大混雑の病院でさんざん待たされて診察を受けたのが、診察券を出してから二時間余り後のことだった。
病院で診断書を受け取ったあと、徒歩と電車とまた徒歩で警察署へ行った浅野は、二階の受付で昨夜の若い警察官の名を云い、面会したいのだと云った。その警察署は建て替えたばかりなのできれいだった。ホテルのロビーのような場所で待っていると、間もなく四階へ行くようにと中年の警察官に云われた。
浅野は優しい雰囲気の若い女性の警察官に四階の待合室へ案内され、暫く待たされた。村田美絵は昨夜のうちにそこを訪れた筈であり、今日は会えないだろうと彼は思った。彼女はどんな職業の女性なのだろうか。あれだけの美貌なのだから、キャビンアテンダントか、大手企業の社長秘書などではないだろうか。それとも、ファッションモデルか、あるいは女優かも知れない。先ほどの女性の警察官も悪くないとは思ったものの、美絵に出会ったあとだけに、魅力に乏しいと思わずにはいられなかった。
「こんにちは。浅野さんでしたね。本日は雨の中わざわざこちらの警察署までご足労頂いて恐縮です。簡単な調書を作成しますので、奥の部屋へ移ってください」
作品名:出会いは衝撃的に(前半) 作家名:マナーモード