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 週末、
 私達は桜星町の外れにある『桜星児童養護学園』にやって来た。
 ここは少しだが自然も残っていて、親類を亡くして身寄りのなくなった子供達が集められていた。
 この養護施設は桜星高校の校長先生の友人が経営しているのだが、ボランティアの人達が急用でこれなくなってしまい代役として生徒会に頼まれた。
 だけど生徒会の方も副会長と書記と会計の人がどうしても外せない用事があると言うので、兄貴達に助っ人を頼んだ。
「よぉ〜し、さぁ来い〜っ!」
「わ〜〜っ!」
 両手を上げた兄貴に沢山の子供達が近づいて行った。
「お兄さん、すごく人気ですね」
「単に精神年齢同じなだけですよ」
 兄貴達が子供達と遊んでいる最中、私は水城先輩と裏門を掃除していた。
 不破さんも三葉さんも意外と子供に人気だった。あの2人だからロクでもない事教えるんじゃないかと思ったけど、意外と普通に子供と接していた。
「………」
 1人だけ仏頂面で門の修復をしている大神さんを見た。
 そう言えばこの人だけはここに来る事を頼んだ時に少し嫌がっているように見えた。
 後で兄貴に聞いたからその理由は分かる、任務が降りて待機するように言われたのに私達の用事でその時間を潰してしまった。
 私はやっぱり謝ろうと思って大神さんに近づいた。
 正直大神さんは少しとっつきにくい上に少し恐かった。見た目もそうだけど口数も少ないし、隣町の不良高生達をぶちのめして舎弟にしたと噂が流れていた。
 私は怒鳴られるのを覚悟で大神さんに頭を下げた。
「大神さん、ごめんなさい、待機命令が出てるのにお時間を割いてしまって……」
「何がだ?」
「えっ? 怒ってるんじゃ……?」
「……いや、班長からも君に協力するように言われている、ただ任務の事が気がかりなだけだ」
 確かに、この施設は今兄貴達が検挙しようとしている犯罪者の宇宙船が落下した場所とは距離はあるけど絶対にここを訪れないと言う保証は無い、
 もしこの施設に現れて子供達が襲われたなんてシャレにならない、この建物の周辺を里中先生が探索派のセイヴァー・エージェント達に24時間体制で見張ってくれるように頼んでくれたとは言え背筋がゾッとなる、リアルなだけに下手なホラー映画より怖い、
「白金さん、そろそろ厨房に行きましょうか?」
「あ、はい」
 そろそろ町のケーキ屋さんで頼まれたケーキが運ばれる頃だった。
 私達はここに来る途中に買ってきたペットボトルの飲み物を分けようと厨房に向った。
「あれ?」
 厨房に置いてあったオレンジジュースのペットボトルが1本なくなっていた。6本買ったはずなのに5本しかない、
「あら? 冷蔵庫が空いてる?」
「えっ?」
 冷蔵庫が半開きになっていていた。何がなくなってるのか分らないけれども、私達がさっき訪れていた時は見間違いでなければ冷蔵庫は閉ってたはず、
「泥棒でも入ったんでしょうか?」
 水城先輩は顎に指を当てて考え込んだ。
 私はまさか例の異星人犯罪者かと思ったけどその可能性はすぐ消えた。
 何しろ裏口にはさっきまで私達がいた。
 表口でも兄貴達が子供達と遊んでたから誰か怪しい人が入ってくれば騒ぎになるはず、
「すいませ〜ん、喉渇いたんで水もらえ…… あれ?」
 すると厨房に兄貴と不破さんと三葉さんが入ってきた。
「3人供何してるの?」
「実は……」
 私と水城先輩は顔を見合わせると事情を話した。
「ああ、そう言えば子供達から聞いたな、時々食べ物が消えてなくなるって……」
「正確には先生達が話してるのを子供達が聞いて教えてくれたんだよね」
「どうせガキ供が野良犬か野良猫でも隠れて飼ってんだろ、ほっとけよ」
「でもジュースまでなくなるなんておかしいわ」
 牛乳ならともかく、犬や猫がオレンジジュースを飲む訳が無い、
「だったら本人に聞いてみるか?」 
「えっ? 犯人分かるんですか?」
 大神さんは目を鋭くするとすぐ側にあった。
 ダンボールの中に右手を突っ込んだ。
「うわぁ〜っ!」
 すると1人の男の子が服の襟をつかまれて持ち上げられた。
 牛柄のニット帽に黄色のTシャツとホットパンツのその子の両手には私が買ってきたペットボトルのジュースとニンジンや白菜などの野菜を持っていた。
「離せっ、離せよ〜」
「どう言うつもりだ? 盗みは犯罪だぞ」
「………」
 子供は黙認してしまった。
「黙っていては分らん、さっさと言え!」
「ヒッ?」
 大神さんが顔を強張らせると子供は怯えてしまった。私も怯えた。
「おい、よせ、子供のした事だろ」
 兄貴はその子から食材を奪った。
「あ、何すんだよ、返せよ〜っ!」
「変な言い方すんなって、そりゃこっちのセリフだ」
「くっ!」
 すると男の子は大神さんの腕を払って床に足をつけて逃げて行った。
「あ、ちょっと!」
「ほっとけよ、あとでセンセ達にチクッときゃいいって」
 嫌な言い方をする三葉さん、
 だけど大神さんはなにやら難しい顔をしていた。
「すまない、少し出てくる」
 すると大神さんは口ごもると表に出ていった。
「舞、悪い、オレもすぐ出てくる」
「オレも行くぜ〜、こっちの方が楽しそうだ」
「えっ? ちょっと兄さんっ?」
「すぐ戻るよ、それとこの事はまだ内緒にしててくれ」
 それだけ言うと兄貴も三葉さんも大神さんの後を追って行った。
「どうしたの3人供?」
「さぁ?」
 不破さんは両手を上げた。