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 戦いは終わった。
 私達は眠っている宗司君を連れて高巳山を下山し、バスに乗って桜星町まで戻った。
 さらに宗司君は病院に運ぶと里中先生に住所を調べてもらい『脳震盪を起こして病院に運ばれた』とご両親に連絡を入れて病院まで迎えにきてもらった。
「どうもありがとうございました」
「大変お世話になりました」
 宗司君のご両親は私達に向って頭を下げるとその場から去って行った。
「でも少し可愛そうね、宗司君ご両親の為にあの山に行ったんでしょう?」
 私は不破さんから聞いた事を話した。
「仕方ないさ、どんな理由があろうともあそこにあった宝石は他の星の物だ。持ち主に全部返さなきゃならないだろ」
 ちなみに宝石は土の下に埋まっていなかった。
 殺害されたシーヴィ・ロードは先天的に超能力を使える種族で、盗んだ宝石を木の中に埋め込んでいたのだった。
 つまり目印だと思われていた木その物が巨大な宝石箱と言う事になる。
 その事は里中先生も気付いていたようで、探索派のセイヴァー・エージェントに知らせて宝石を回収してもらっている、
「だが何とかなるだろ、家族が力を合わせればな」
「またそんな事を……」
 私は確証を持たない兄貴の言葉にため息を零した。
 しかし両親に連れられながら笑っている宗司君を見ると兄貴の言葉を信じても良いと思った。それはお金じゃ買えない物だった。
「さてと、じゃあ帰るか…… おい、ファーラン」
 兄貴が後を見る、
 すると不破さんは口をへの字に曲げて頬を膨らませると目を反らした。
「何だよ、まだふてくされてんのか?」
「ふてくされてなんかないモン、お金が手に入らなくて残念なだけだもん」
「おい……」
「待って!」
 兄貴は眉をつりあげると私は止めた。
「不破さん、確かにお金は大事よ、だけどあまりお金にこだわってたらあの異星人みたいになっちゃうわよ。それでもいいの?」
「うっ……」
 不破さんは顔を曇らせた。
「兄さんや里中先生も少し言いすぎただけよ、別に不破さんが嫌いで言ったんじゃないから、ね?」
 私は兄貴を見る、
 兄貴は口ごもると目を泳がせた。 
「……ま、まぁな、チヅルちゃんにも言っとくから戻って来い」
「兄さんっ! そんな言い方しないの!」
「な、何だよ? 何でそんなにファーランの肩持つんだよ?」
「……忘れちゃったの?」
「えっ?」
 兄貴は本当に忘れているみたいだった。
 あれは私がまだ子供だった時に近所に駄菓子屋があって、はまっていた食玩があった。
 しかし欲しい景品が出てこずに無駄使いしてしまい、お父さんに怒られて家出をした事があった。
 だけど兄貴も一緒について来て日が暮れるまで遊んで帰った。その時に兄貴に言ってもらった言葉だった。
「……はぁ、全く」
 私はため息を零しながら頭に手を当てた。
「おいおい、オレがお前の事を忘れる事なんかあるかよ、初めてホラー映画見て夜中にオレの布団に潜り込で来た時の事や、最後にオネショしたのが小4の秋だって……」
「バ、バカ! 小3の夏よ…… あっ」
 私は恐る恐る不破さんを見た。
 不破さんは目を皿のようにして呆気に取られていたがやがて腹を抱えて笑い出した。
「あはははは!」
「ち、違うのよ不破さん! これにはちょっとした訳が……」
 私は慌てふためいた。
 しかし何を言っても良い訳にしかならない、