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 あれから3時間経過、当りが暗くなり始めた。
 マスコミも警察も仕事が終わったのかもう帰ったけれども兄貴はまだ帰って来なかった。
 私は病院の入り口で兄貴を待ち続けた。
「兄貴……」
 私は両手を握り締めて祈った。
 都合のいい望だってのは分かってる、兄貴も美佳ちゃんも無事で帰ってきて欲しかった。
 するとその時、1台の車が私の前に止まった。
 そして扉が開くと1人の女性が現れた。黒い髪のストレートヘアに眼鏡をかけた色白で黒いシャツの上に赤いスーツを羽織った彼女を私は知っている、彼女は……
「さ、里中先生?」
 彼女は以前話した私達の学校の保険医だった。でも何でここに? 
「お待たせ、妹さん」
「えっ?」
 私は何を言っているのか分からなかった。
「貴方のお兄さんは約束を守ったわよ」
 先生が後部座席を開くと中にはグッタリとした兄貴とその腕の中で気を失っている美佳ちゃんがいた。
「よう…… 待たせたな!」
 兄貴は苦笑しながら右腕の親指を突きたてた。
「兄さん……」
 私は目に涙が浮かんだ。
 里中先生は助手席の扉を開いて金属製のボックスを取り出すと私の前に差し出した。
「これ……」
 私はそれを受け取る、
 病院のマークが書いてあるそれを私は見ただけで分かった。輸血用の血液だった。
「話はつけてあるわ、早く彼女の手術を!」
「急げ舞、今度はお前が助けるんだ」
 兄貴が頷くと私も頷いて美香ちゃんを抱きかかえた先生と一緒に病院の中に入って行った。

 数日後、手術が無事完了した美佳ちゃんと面会が出来るようになった。
 テストも終わって私と兄貴はお見舞いを買うと美佳ちゃんの病室へ向かった。
「……兄さん、やっぱり少し私が持つわよ!」
 私は兄貴の両手から山のように持たれている荷物を持った。
「お、おう…… どうしたんだよ突然? 最近やけに優しいな?」
「べ、別に…… 先生から聞いたから……」
 私は美佳ちゃんを預けた後、里中先生から全ての事を聞いた。
 兄貴は一度美佳ちゃんから少量の血液を抜き取って自分に投与すると、生体改造された兄貴の身体が瞬時に美佳ちゃんの血液型を直ちに解析、彼女と同じ特殊な血液を精製たと言う、
 さらにテレポートは著しく生命力を消費すると言う、
「先生に聞いたよ…… かなり力使うって、下手すると命に関わるって言ってたわよ! アンタ死んだらどうするのよ?」
 兄貴は一度死んでる、だからって命を軽んじて良い訳が無い、
 すると兄貴は鼻で笑った。
「バカ、オレは二度も死なしねぇよ……」
 私は口をへの字に曲げるとため息を零した。
 一応兄妹だから全部言わなくても言葉の重みと言うかどれだけ本気かは分かる、
「まぁ…… 分かってるなら良いわよ」
「何だ。今日はデレだけか?」
「う、うっさいっ! ホラ、行くわよ」
「えっ? あ、おい待てよ!」
 私は1人小走りに進むと慌てて追いかけてくる兄貴に後ろ向きのまま皮肉を言った。
「バカ兄貴……」