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 俺は光のブレードの切っ先を奴に向けた。
「オレがいる限り、誰一人死なせやしねぇよ!」
 俺の言葉にキースは口をへの字に曲げる、
『なるほど、話して分からないお馬鹿さんのようですね…… 私が一番嫌いなタイプです』
 キースが吐き捨てると俺も皮肉をたっぷりこめて吐き捨てた。
「貴遇だな、俺もテメェみてぇな奴が一番癪に触んだよ!」
 オレは膝を曲げると足に力を入れて大ジャンプ、一気に斬りかかった。
『クッ!』
 また避けられた。
 モーキ星人は確かにすばしっこくて有名だがこのくらいなら何とかできない訳じゃ無い、スピード負けさえしなければ勝機はあった。
 しかし奴は逃げるばかりで反撃して来る気配が無かった。俺はどんどん工場の片隅に向かって行くと……
『動くな!』
 奴が一瞬機材の影に隠れたかと思うとグッタリした女の子を羽交い絞めにしながら姿を現した。この子が美佳ちゃんか?
『少しでも動けばどうなるか…… 分かりますね?』
「チッ…… 最悪な下衆野朗だな……」
 俺は舌打ちする、人質なんてやっぱりオレが大嫌いなタイプだ。
『分かったらその物騒な物を捨ててもらいましょうか?』
「……」
 俺は言われるままにセイヴァ―・アームズを見るとそれを奴の目の前に放り投げた。
『意外と素直な方ですねぇ、じゃあそのまま動かないで貰いましょうかッ!』
 奴が鋭い牙が並んだ口を大きく開くと長くて細い真っ赤な舌が飛び出した。その長さは俺と奴の間の距離約10メートルを優に超えていた。
「待ってたぜ!」
 キースの舌先が俺の左胸に突き刺さるほんの一瞬、俺は両手で奴の舌を止めた。本当にあと数センチの所だった。
『何っ?』
「バカが、見事に引っかかってくれたな!」
 俺は足の踏ん張りを利かせて上半身を捻ると思い切り奴を引き寄せた!
『うおおおッ?』
 オレの血を吸うのに必死で隙だらけだった奴の体がフワリと浮かび上がると山を描きながらオレの方に跳んできた。
 俺は右手一旦離して拳を作り力を入れた。
「うおりゃああっ!」
 俺の鉄拳がキースの顔面に命中! 
 奴は今度は一直線にも説いた場所まで飛んで行くと壁に人型の窪みを付けてめり込んだ。
 さらに床に倒れようとした美佳ちゃんを俺は受け止めた。
 奴を引っ張ってぶっ飛ばし、美佳ちゃんを助けるまでに掛かった時間はおよそ3秒もかかってないだろう、俺は両足に力を入れて高速移動で美佳ちゃんを受け止めるとその場に寝かせつけた。
『がっ…… はっ……』
 全力で殴ってやったから奴もしばらくは動けない、
 そのチャンスを見出したオレは走るとセイヴァー・アームズを手にしてジャンプ、壁にめり込んだキースの腹目掛けて瞬時に光の刃を作って切っ先を突きたてた。
『グアアァッ!』
「モーキ星人、キース・ヴァラン、逮捕だぜ!」
『き、貴様ぁああっ!』
 光の粒子となって消えて行くキースは俺の両肩を?んだ。
『何が逮捕だ! 貴様等はただ自分達の都合の良い様に法を敷いて踏ん反り返っているだけだ! 我々が血を求めるのはただの本能! それの何が悪いっ?』
「喋るなっていったはずだぜ! どんな理由があろうが法は法だ…… それに!」
 法だろうと何だろうと許せない理由が俺にはある、それは……
「テメェはオレの妹を泣かせた。それが一番許せねぇんだっ!」
 俺は奴の腕を振り払い、セイヴァー・アームズで奴の体を薙ぎ払った。
『ギャアアァァ―――ッ!』
 背中越しにキースは粒子化してゼルベリオスに送られた。
「美佳ちゃんっ!」
 俺は美佳ちゃんに駆け寄って抱き上げる、意識は無いがグッタリしている、病状が悪化したのか?
「不味いな……」
 彼女の救出は成功しても彼女自身が助からなきゃ意味が無い、血液も飲まれちまったしどうしようと思っていると……
『安心しろタクミ、こんな事もあろうかとミーゼルに連絡を入れて置いた。そろそろ来る頃だろう』
「そうか、じゃあ何とか…… おっ?」
 噂をすればなんとやらだな、
 この工場の表に車が止まる音が聞えた。オレは両手に力を入れて立ち上がると工場の中には言って来た彼女に向かって白い歯を見せて笑った。
「よう、終わったぜ…… 後片付けは頼むぜ」
 オレがそう言うと彼女は俺の方にゆっくりと近づいてきた。