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察人姫-第弐話-

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弐ノ弐





 保澄学園。食堂。
 調査日四日目の正午。
「うう……ユーイチが来るまで暇だよ」
「だからって俺を引っ張り出すなよな。あ、言っとくが奢らねぇぞ?」
 休憩時間に入ったものの、いきなりソラに連れ出されてしまった藤村はため息を吐いてからB定食の食券を買う。
「ふふん、ツトムちゃんからご飯代はもらってるよん」
 給料日前で無駄な出費を避けたい藤村はソラに釘を刺すが、ソラは自慢気に藤村のものより百円高いS定食を買ってみせる。
「つーかさ、お前らってそんな仲良いのに何で付き合ってねーの?あ、おばちゃん、飯は大盛で」
「私達の間に恋愛感情なんてないよ。あるのは友情と……罪悪感かな?あ、私も大盛でお願い」
「罪悪感?」
「うん。ユーイチは私の大事なものを三つも奪ったんだよ」
 そんなやり取りをしながらまだ昼休み前でほとんど人のいない食堂のど真ん中の席にトレイを置き、座る二人。
「へえ、気になるな……その大事なもの」
「言わないよ。このことは誰にも言ってないんだから。それより早く食べよ」
「いや、話ながら食べればよくね?」
「食事が優先。冷めない内に食べないと作ってくれる人に失礼だよ」
「さいですか」
 それから二人は黙々と食事をとり、食べ終わる頃には食堂は生徒で一杯になっていた。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司