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察人姫-第弐話-

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「あ、大事なこと忘れてました。どのようなきっかけや経緯であなたはその取引相手と接触したんですか?」
 ユーイチが喫茶店に入ってから三十分。時刻は十一時。そこで質問を終えようと手帳を閉じかけたユーイチだが、思い出したように手帳を元のページに戻して門田に訊ねる。
「それが気味が悪いことにだな、いきなりポストに封筒が入れられていて、紙に書いてあったんだよ。保澄学園の女子を盗撮した動画はいらないかってな」
「その紙は?」
「封筒に戻した。そういう取り決めだったからな。もちろん俺だってはじめは信じちゃいなかったが、好奇心と後払いで良いって書いていたからな……その紙にリストアップされてた項目から“更衣室A”ってのを選んで封筒を指定された日にポストに戻した」
 すると次の朝には封筒の中にUSBメモリと伝票、次の注文表が入っており本物だと確かめてから門田はその相手を信用し、以来取引をするようになった。
 そして今に至る。
「もう結構です」
「お、おう。それじゃあ……」
 ユーイチのその言葉に安堵の表情を浮かべる門田。
「はい、後日刑事と名乗る人があなたの所へ伺うかもしれませんが、その時は茶菓子でも出して上げてください」
「なっ……!?」
「どうかしましたか?これは犯罪ってのは分かってますよね。あなただって関係者なんですよ?しかも過失なんかじゃない」
「嘘だろ……全部話したら黙っててくれるんじゃないのかよ?」
「僕が一度でもそう言いましたか?ああ、コーヒー代くらいは持ちますよ。情報料だと思ってください」
 ユーイチは冷めた目で門田を一瞥し、伝票を持ってレジに向かう。
 いつの間にか他の客はおらず、椅子に座っているのは青ざめた表情で俯く門田だけだった。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司