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察人姫-第弐話-

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「ねぇ、参考までに訊くけどフッジーは今回の事件どう思う?」
「いつから俺はフッジーになったんだよ……つか参考までにってハナから頼りにしてねぇだろ」
「ね、どう思う?」
「無視かよ。いい性格してるな……ま、歳上として多めにみてやるよ。えっと、盗撮事件だろ?仕掛けたのが関係者ってんならやっぱり怪しいのは教師じゃねぇか?授業中に一番自由に動けるし、あとは事務員とか」
「なるほどね。だけど私は生徒が怪しいと思うの」
「いきなりバッサリかよ……理由は?」
「犯人は動画を売買してる。さっきユーイチからメールがあってわかったの。もちろん更に間に仲介者がいる可能性もあるけど、少なくとも仕掛けた犯人は自分が楽しむ用としては仕掛けてない」
「けど大人だって売買してる……むしろ大人だからそんな取引をしてる可能性があるぜ?」
「取引方法に手間をかけすぎてる。それが主な理由。大人なら広いネットワークを使ってもっと効率的に商品を流せると思うんだけど、それがない。だから犯人はさほどそういった販売ルートに通じてない学生じゃないかなって思うんだけど」
 食堂から出て職員室へ向かう道中での二人のやり取り。まだユーイチは保澄学園に来るには時間がかかるようなのでソラは先に調査を進めることにし、代理の助手として藤村を勝手に、同意なく連れて歩く。
「そう言われると納得する部分はあるが……じゃあどんな奴が犯人なんだ?」
「やっぱりお金に困ってる生徒かな。あとアルバイトをしてる生徒なんて特に怪しいと思うよ」
「なんでだよ。アルバイトしてたら金は稼げるし、わざわざリスクのある盗撮なんてするわけないだろ?」
「逆だよ。高校生でアルバイトしてる子の大半はお金をたくさん使うか、家庭の事情がある子なんだよ。暇だからしてるって子は少ないと思うよ」
 そんなやり取りを続けながら二人は職員室に到着する。
「だからまずはアルバイトしてる生徒を調べよっか」
 ソラはそう言って職員室のドアをノックする。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司