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愛憎渦巻く世界にて

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「明日まで、おとなしくしていてくださいね!」

 シャルルが応接室から去った後、メアリーがウィリアムに言う。イーデンは気まずそうに、応接室の窓から外を眺めている。
「……悪いが、私も馬鹿なのでね」
ウィリアムはそう言うと、紅茶を飲み干した。
「お願いですから、おとなしくしていてください!!! ウィリアム様は、次期皇帝の身なのですよ!!!」

「殿下! 大使館の前に!」

窓から外を見ていたイーデンが大声で言った。
「どうした? 売春婦の像でも置かれたのか?」
ウィリアムは立ち上がり、隣りの窓から外を見る。
 イーデンとウィリアムの目が窓の外へ向いたそのとき、メアリーはウィリアムのカップに紅茶を注ぐと、ポケットから取り出した小袋の粉を、その紅茶の中に流しこんだ……。


 大使館の門のすぐ近くに、怪しい男が何人か立っていた。松明の明かりが、彼らをぼんやりと照らしており、門の警備兵がそいつらをジロリと睨んでいる。
「彼らは、ゴーリ王国の諜報機関の人間で、あなたがたを見張っているのでしょうな」
「……まずいな」
ウィリアムは門に向かって歩いている人物を見てから言った。
 その人物とは、シャルルのことで、彼は何も気づかずに門から出ていった……。警備兵は、何事もないかのように、堂々と門を通るシャルルは、呆然とした様子で見送った……。

 すると、怪しい男たちのうちの2人が、シャルルの尾行を始めた……。おそらく、大使館から離れたところまで来たら、拘束するか殺すつもりなのだろう……。深々と被っている帽子の下からは、不穏さだけしか感じられない……。
「姫だけでなく、ムチュー王国の人間はみんな天然なのか!?」
ウィリアムはあきれた口調でそう言うと、窓から離れ、テーブルの紅茶のカップを取った。
「まずは彼を保護してやらなければ。大使、外交ナンバーの馬車を一台用意してくれ」
ウィリアムはイーデンにそう言うと、紅茶を一気飲みした。
「……わかりましたが、どうか穏便にお願いしますよ。国際問題になりかねませんので……」
「わかっているよ。武器は脅しだけに使う」
ウィリアムは、部屋の隅に置いてある長弓と矢を取りに向かった。しかし、ウィリアムは千鳥足だった……。
「ん? なんか変だぞ」
彼はそう言うと、床に倒れてしまった。
「こ…この感じは、また睡眠薬か……」
彼はゆっくりと目を閉じていった……。
「そうです。申しわけありませんが、おとなしくしてもらうためです」
メアリーのその言葉を聞いてすぐに、彼は深い眠りについた……。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん