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愛憎渦巻く世界にて

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第3章 セットク



「……あなたは誰?」

 マリアンヌは、当然の質問をシャルルにする……。しかし、当のシャルルは、食事が乗っていたカートの上で突っ立ったままだ。
「……え〜と」
シャルルはどう答えたものかと頭をポリポリと掻く。
 そのときになって、彼は、自分の服や体が料理のソースなどでさらに汚らしい状態になっていることに気がついた。彼は気まずそうに、服についている食べカスなどを払った。

   ポトッ

 払った拍子に、エスカルゴの殻が床に落ちた……。シャルルとマリアンヌはその殻を見た。そのときに、2人の目が合った。
「……くすくす」
きょとんとしたままだったマリアンヌは、その途端、くすくすと笑った。彼女が笑ったのは、この地下室に入れられてからは初めてのことであった。
 マリアンヌが茶色のクセ毛を揺らして笑うのを、シャルルは恥ずかしそうに見ていた。しかし、彼女の豪華な服装を見て、顔を強張らせた……。彼は、目の前にいる少女が王女であることに気づいたようだ。なぜなら、マリアンヌの服にムチュー王室の紋章があったからだ。
「ひ…姫、私の名前はシャルルといいます。そ…その、ご無礼をお許しください」
シャルルは、慣れない仕草で膝をつくと、噛みまくりで挨拶をした。当然だが、ただの農民でしかない彼は焦っていた。もし、マリアンヌが家来を呼びつけて、「市中引き回しの上、晒し首にせよ」とか命令したら、間違いなくそうなるからだ……。
 しかし、彼女は、落ち着いた口調で、
「私は、ムチュー王国王女のマリアンヌです。こんなところですが、よくいらっしゃいました」
優雅な動作とともにそう言った。そして、彼女はテーブルのほうに向かうと、綺麗で高そうなカップにカフェオレを注ぎ、シャルルに手渡す。
「こちらにお座りください」
彼女はそう言うと、自分のカップにもカフェオレを注ぎ、イスに座った。テーブルの上には、平民のシャルルが一度も食べたことがないような、ケーキなどの高級菓子が鎮座している……。
「あ…ありがとうございます」
シャルルは混乱しながら、マリアンヌの向かい側の席に座った。
「どこにお住まいですか?」
マリアンヌがシャルルに聞いた。シャルルは質問された途端、ビクッとなった。さすがの彼も緊張しているようだ。
「今はもうありません」
シャルルは言葉を振り絞ってそう言った。まさか、あなたが関係する戦争のせいで、村が全滅したとはいえまい。
「無いというと? 他の地域と合併したのですか?」
マリアンヌが意味がわからないという感じで尋ねた。
「……ゴーリ王国の連中にやられて、私の村は全滅しました」
シャルルは、静かにそう言った。
「…………」
マリアンヌは申しわけなさそうにうつむいた。彼女は、彼の住んでいた村が全滅したのは自分のせいだと感じていた……。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん