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D.o.A. ep.17~33

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「閣下、あれを…」

また先ほどの士官が何かに気づいたらしく、思考が混乱にしずみかけていた彼を引き戻す。
「オーク軍団の、後方、…丘陵に」
オーク軍団についての変化ではないらしい。
ヒュー中将はいそいそと望遠鏡をもちあげて確認する。
砂埃を上げて、正体不明なる集団がこちらへとむかってきている。
「まさか…敵軍か!?あれがすべてでは、なかったとでもいうのか!?」
ヒュー中将の声はもう悲鳴じみていた。
ここで敵援軍などやってきたら、間違いなく第3軍は負ける。それはもう、容赦なく圧倒的な敗北を喫する。
あまりの絶望に、彼は足元から崩れ落ちそうであった。

「いいえ…いいえ!ちがう!ちがいます閣下!あれは、あの旗は…我らのものですッ!」
「え…?」

そのあまりにも意外なる正体に、ヒュー中将はばっと望遠鏡をかかえなおした。
倍率を最大までねじり上げて、その旗を確認すべく目をすがめた。
士官の言葉は、たしかだった。
あの、オーク軍団の後方にせまりつつある集団が掲げるは、ロノア王国の軍旗である。
近づくにつれ、それを率いる人物もあらわになっていった。
その男を認めた瞬間―――ヒュー中将はあまりの感動に、目頭があつくなった。


「…!アレハ」
「ワレラ同胞デハ、ナイ…!ニンゲンドモ、グル」
オーク軍団は騒然となった。
後方から敵とおもわれる勢力がやってきているのである。
オーク集団はすべてのものがほぼ対等であり、おちつけ、などと命令できる統率者がいようはずもなかった。
ただ心を支配する絶対者からの命令と規律のみが、この怪物どもに軍隊の真似事をさせているにすぎない。
予想外の奇襲に、オーク軍団は後ろと前、どちらを優先すべきかうろたえた。
やがて第3軍の最前からも、その援軍の正体が視認できるようになる。

その人は、ロノアの戦士だれもが目指さずにはいられぬ高みそのものだった。
その力は、王国はじまって以来、最強と謳われた。
極限まで鍛え上げられた鋼のごとき肉体を持ち、ロノア王国軍の頂点に超然とたたずむ、その男は、高らかに咆えた。


「―――武成王ソード=ウェリアンス、此度第3軍へ助太刀に馳せ参ずッ!!」


作品名:D.o.A. ep.17~33 作家名:har