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メリークルシメマス

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「乾杯!!!」

 先輩の男はそう言うと、シャンパンが入ったグラスを他の2つの
グラスにカチンと鳴らした。縛られている女の子のグラスは、後輩
の男が代わりに鳴らした。先輩の男は、グラスのシャンパンを一気
に飲み干した。後輩の男は、彼女にシャンパンを飲むかとおそるお
そる尋ねたが、女の子はぷいっと横を向いてしまった。
「オレの酒が飲めねえっていうのか!?」
先輩の男が、もう酔っ払った様子でそう怒鳴った……。顔が悪い上
に酒癖も悪いとは最悪である……。
「はいはい、もらいますもらいます」
女の子は、やれやれといった感じでそう言うと、後輩の男にシャン
パンを飲ませてもらった。
 女の子は、さっきまで恐怖に怯えた様子だったが、今はバカバカ
しいことに巻きこまれてしまったという様子だ……。
「男に対してなんだその態度は!!! もっと女らしく、男に従順
 になったらどうだ!?」
どうやら、先輩の男は性格も悪いらしい……。モテる要素はありそ
うにない……。

 クリスマスパーティは、先輩の男にとっては楽しいものだったよ
うで、パーティの最中にかかってきた警察からの説得電話を無視さ
せてしまったほどだ。(先輩の男自身は、警察ではなく、新聞の勧
誘だと思っている……)
 しかし、縛られたままの女の子にとっては楽しくなく、後輩の男
は、先輩の男の機嫌を損ねないようにしたり、女の子を気遣ったり
と大変そうだった……。

 そして、クリスマスパーティは終わった。パーティが終わった途
端、先輩の男は、女の子に飛びかかろうとした。
 しかし、女の子の前に後輩が立ち塞がった。
「おい、なんで邪魔するんだよ!!!」
先輩の男は怒鳴った。後輩の男は深呼吸すると、
「先輩、ゴム持ってますか?」
後輩の男のその言葉に、先輩の男は、しまったという顔になった。
「ああ、買い忘れたな。後が面倒だから、避妊しなくちゃいけない
 しな。それじゃあ、そこのコンビニに行って、買ってきてくれ」
「……すみません、先輩。財布忘れてきたんですよ。ぼくがパーティ
 の片付けをやっておきますから、代わりに買ってきてくれません
 か?」
「しょうがねえな」
先輩の男はそう言うと、家から出ていった。
{今さらなんでそんなことを気にするの?}
女の子はそう思った……。

作品名:メリークルシメマス 作家名:やまさん