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夏風吹いて秋風の晴れ

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料理を囲んで姉だか、兄だか、妹だか


「えっとさぁー 想像だけど、純ちゃんも叔母さんの家にってことでいいのかな・・そのへんも知らないの?・劉って」
バジリコがいっぱいかかったスパゲッティーを口に運んでいると直美に聞かれていた。
「全然知らないって・・初めて聞いた、そんな話・・」
本当のことだった。
「でも、ほんとうにそうかどうかはわからないわよね・・」
「うーん、でも、きっと、その確立が高いと思うけど」
「うん。だよね」
直美もスパゲッティーを口にしていた。
「で、弓子ちゃんはどうなの・・純ちゃんが妹ってことには・・」
直美が弓子ちゃんにだった。
「かわいいから、一緒に住むのはもちろんうれしいけど・・・うん、妹ってのもいいんだけど・・そのぅ・・なんて言っていいか・・むずかしいんですけど・・」
なんとなく言いたいことは少しだけわかっていた。
直美もきっとそのはずだった。
「うん、そうねぇ・・でも、弓子ちゃんが悩むことでもないのかなぁー たぶんね、もう少し経ったら、弓子ちゃんに叔母さんが直接に話っていうか、相談かなぁー してくると思うよ。自分だけど決めたりしないと思う、叔母さんもね」
直美がゆっくりと弓子ちゃんに話しかけていた。
「うん、それまでは、叔母さんには知らないことにしたほうがいいんですか・・」
「無理に、そうしなくてもいいような気もするけど・・自然に聞いちゃってもいいかもよ、弓子ちゃんから・・うん、そんな気がする」
直美がグラスワインを飲み干しながらだった。
「はぃ、もう少したったら聞いてみます。知らないふりってのもなんか、窮屈ですから・・」
「うん、そうだね・・」
「はぃ」
「でも、純ちゃんがやってきたら、楽しそう?どう?」
「うれしいですよ。やっぱり1人だと少しさびしいです。ほんとに純ちゃんが来るのは私はうれしいんですけど・・ちょっとなんとなく、どういうつもりなのかなぁーって思えて・・生意気な事をいいますけど、わたしのことを考えてじゃなく、叔母さんと叔父さんが、純子ちゃんと一緒に暮らしたいって気持ちならいいんですけど・・そこだけ、ちょっと・・・感謝してますから、叔母さんと叔父さんには・・」
「うーん、でもさ、叔母さんが弓子ちゃんのことを思って、1人より、仲のよかった純ちゃんと一緒ならいいかなぁーって思ってもさ、それは別に弓子ちゃんを気にしてって事だけじゃないと思うよ。叔母さん自身もきっとそれは楽しいかなって思ってることだと思うけど・・そう思うなぁー わたしは・・」
直美がきちんと自分の意見を言っていた。
「うーん」
「叔母さんだってさ、嫌なことは決して、弓子ちゃんに頼まれたって動かないよ、自分できちんと考えてしてることだと思うよ、それも、きっと楽しんでると思う。弓子ちゃんに今すぐにでも、純ちゃんを妹にって言いたいのかもしれないけど、いろんな事がクリアになってはっきりするまではって思って内緒にしてるかもしれないよ」
「はぃ」
「どっちかって言うと、叔母さんが弓子ちゃんに内緒にしてることが本当は1番気になってるんでしょ?弓子ちゃんとしては、そのへんがモヤモヤなんでしょ・・」
「そうかもしれないです・・」
「うん、大丈夫、弓子ちゃんが心配なんかすることないよ。それにさぁー 気持ちわかるんだけど、遠慮なんかしちゃだめだよ、親子になったんだからさ、ねっ、徐々にでいいと思うけど、言いたい事は言わないとつかれちゃうからね、弓子ちゃんも叔母さんもね」
「はぃ」
直美と弓子ちゃんの話をずーと黙って聞いていた。
どうにも、こういうことは直美の方がだった。
「ねっ、わたしはも劉も、時間あればなんでも聞いてあげるけど、それよりも、おかーさんといっぱい話ししなさいね」
「はぃ」
「それから、なかなか難しいことだから、すぐにって事はいわないけど、きちんと、おかーさんって言いなさいね。叔母さんっていつまで言っててもしょうがない事だから・・いずれ、おかーさんって言うようになるんだからね」
ちょっと以外だったけど、強い口調で弓子ちゃんに直美がだった。
「意識してるつもりは無いんですけど、恥ずかしいっていうか・・うーん・・でも、頑張ります」
「うん、今度お家に行ったら、弓子ちゃんの横に並んで、一緒に叔母さんに「おかーさん」って言ってあげようか?」
「うわぁー いいですねぇー」
直美の笑顔につられて、弓子ちゃんも笑いながらだった。
俺は、その場所にいないほうがいいなぁーって思っていた。直美のことだから、一緒に並ばされて、俺まで言わされそうだった。
「劉も一緒にしようか?」
やっぱりだった。
「遠慮しとくわ、叔母さんに後で怒られそうだから、それも俺だけね・・・」
笑顔で言い返していた。
ちょうど3人で笑っていると、メイン料理の肉が運ばれてきたいた、おいしそうなソースがかかっていたし、香りもいっぱいに広がってきていた。
3人ともに肉料理だった。普通は1人ぐらい魚料理じゃないのかぁーって思ったけど、目の前の料理はそりゃーおいしそうだった。
「さぁー 食べようね、弓子ちゃん」
「はぃ」
「そうだ、1ヶ月に1度はきちんと、劉にここに連れてきてもらって3人で食事しよう。今度は制服じゃなくておめかししてね・・・」
「はぃ」
「ねつ、劉、そういうことでお願いします」
勝手だなぁーって思ったけど、
「いいよぉー」って元気な声をだしていた。
うん、いいかって、だった。
2人分でも、けっこうなお金が財布から消える値段の店だったけど、きっと楽しい食事会になるはずだった。
「あっ、制服でこんな場所っていいの?弓子ちゃん?私立ってうるさいかもよ・・それにここって地元なわけでしょ?」
「さっぱりわかんないんです。こんな性格なんで校則読んでないんです、すいません」
「まぁー何かあったら、おねーちゃんと一緒って事で許してもらおう」
「はぃ」
直美と弓子ちゃんは、うれしそうにふざけあいながら、食事をすすめていた。まっ、顔はそんなには似ていなかったけれど、妹って言い張ればそれはそれで誰もが納得しそうに見えそうだった。それぐらいの雰囲気だった。それは、直美の性格もなんだろうけど、弓子ちゃんの性格もなんだろうなだった。
直美はもちろん大好きな彼女だったから当然だけど、従兄妹になった弓子ちゃんもいい子でよかっただった。

作品名:夏風吹いて秋風の晴れ 作家名:森脇劉生