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夏風吹いて秋風の晴れ

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リストランテで3人で


知り合いの麗華さんに2年前に連れられて来てから、たまにお金持ちの時だけに、直美と来る店だった。ものすごーく高い店ではなかったけど、やっぱり大学生の俺には気軽に食べられる店ではなかった。
「こんばんわ、あとでもう1人で3人です」
言いながら、店長に頭を下げると、
「いらっしゃい、奥の席にどうぞ」
って案内されていた。
店の中は、まだ、早い時間だったけど、きちんとした大人たちが店の席を埋めているようだった。
「どうしましょう?お連れ様がお見えになってからでいいですか?それとも何か、お出ししましょうか?」
椅子に座るとニッコリ顔の店長に聞かれていた。
「前菜でなにか、お願いします。それいただきながら待ちますから・・」
「では、おいしい野菜とチーズでも少しお持ちしましょう」
「はぃ、お任せします」
お任せしますなんて言うほどのお金持ちではなかったけど、こっちの財布の中身をきちんと計算してくれるそんな気配りのひとだった。
「では、いつもどおりにビールと、どうしましょう?」
店長は俺に言ってから、ちょっと緊張しながら座っていた弓子ちゃんに向かって聞いていた。
「うーん、なにがいいんですか?」
弓子ちゃんは店長に答えずに俺に聞いてきていた。
「ジュースでももらう?」
「はぃ。では、ジュースください」
返事を俺に返して、それから店長に顔を向けて答えていた。
「では、おいしいオレンジジュースをお持ちしますね」
「はぃ」
少し話して、緊張がとけた返事を弓子ちゃんが返していた。
「あのうー ここってよく直美さんと来るんですか?」
先に出されていた水を飲みながら聞かれていた。
「そんなには来れないよ、ここってほら、きちんとした店だからさ、バイト代だとなかなかね・・」
「ちょっと、緊張しちゃいます」
「あっ、でも、さっきの店長さんも、みんなお店の人って言い人ばかりだから・・・それに、俺みたいにお金もってないお客でもきちんとしてくれるからね・・」
いつも思うことだけど、ほんとうにお金がなくて高いものなんて注文しないのに、いつでも気持ちよく食事をさせてくれる店だった。
「あのうー 安い店でもいいですから・・気を使わないでくださいね、今度からは・・」
中学生なのに、ほんとにきちんとしている子だった。
「久々だからいいんだ、直美もそろそろ食べたいだろうから、ここで・・」
店に来たのは1ヶ月ぶりのはずだった。

前菜が運ばれてきて、ビールを口にしていると、直美が店の入り口で店長に挨拶をしている声が聞こえてきたいた。すぐに席を案内された直美がテーブルに現れていた。
「弓子ちゃん元気?学校はじまったんでしょ?それが制服かぁー かわいいねぇー やっぱり私立って違うねぇー」
弓子ちゃんの制服姿を見ながら、俺の隣の椅子に座りながらだった。
「そうですかぁー なんかちょっと女の子っぽくて、あんまり好きじゃないんですけど・・」
自分の新しい制服を手でつまみながら直美に返事をしていた。
「そうかなぁー かわいいけどなぁー 」
「うーん、ここのリボンがねぇ・・女の子女の子してるでしょ・・」
「そうかなぁー 大きくていいよね、ねぇ劉?」
こっちに聞かれていた。
「うーん、でも私立だから、まぁー 高そうって感じだね」
たぶん、きっと私立って制服の値段も高いんだろうなぁーって思っていた。

直美に料理の注文を任せて、俺たちは、直美がこれでいい?ってのに、うんうんってうなづいていた。
直美の頼んだ白ワインが来ると一緒に乾杯を3人で小さな声であげていた。
料理が順番に運ばれてくると俺たちは、他のテーブルの落ち着いた静けさには似合わないほどに、フォークとナイフを動かしていた。今日もおいしい料理だった。
「で、よく寝れてる?静か過ぎない?」
直美が弓子ちゃんにだった。
「だいぶ慣れましたけど・・まだ、ちょっとかなぁー 静かなのはいいことなんだとおもうんですけど・・」
「うん、すぐ慣れちゃうよ・・」
直美がチーズを口に運びながらだった。
「で、弓子ちゃん、なにか、相談?」
「うーん、相談っていうか・・叔母さんが、施設に行ってるみたいなんです・・」
「えっ?」
直美も声をだしたけど、一緒に俺もで、それで顔を見合っていた。
「わたしには内緒にしてるんですけど・・聞いちゃったから、たまたま施設に電話したら、聞いちゃったんですけど・・」
言いづらそうに弓子ちゃんが答えていた。
「なんで、叔母さんが行ってるのか、知ってるの?劉は?」
「いや、全然。初めて聞いた、そんなこと・・直美は?」
「わたしも、知らなかったけど・・なんか理由あるのかなぁ・・」
こっちを見ながらだったけど、こっちもわからない事だった。
「たぶん、純ちゃんのことだと思うんですけど・・・星野さんに今日、聞いてみたんです、電話で・・そうしたら、はっきり言わないんですけど・・どうもそうらしいって思えるんです」
弓子ちゃんはゆっくりと言葉を選んでいたようだった。
「それって・・・」
直美がこっちを見ながら言葉をとめていた。
「それって・・純ちゃんを・・ってことなのかな・・」
直美を見ながら、ゆっくりと口にしていた。
「そうなの?」
直美が今度は弓子ちゃんの顔に近付きながら聞いていた。
「そうみたいです・・」
「ふーん・・・・」
直美と二人で、「ふーん」って首を小さく縦に振っていた。
少しの時間になにかを弓子ちゃんに答えるのって難しそうだった。
叔母さんらしいって少しだけ考えるのが精一杯だった。

作品名:夏風吹いて秋風の晴れ 作家名:森脇劉生