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住めば都 ~整形外科病棟~

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 朝、目が覚めて、まずそれを確認した。

 ―― な〜んや! これやったんか! ねこのクーちゃんの筈ないよな……。

私の手に触れたものを目の前まで持ってきて見てみた。それは、ウェットティッシュの丸い容器だったのだ。

 ―― う〜ん、これって猫の禁断症状!? 猫の幻覚?!
  クーちゃんと会えないのももう限界。

 仕事を休んで家で安静にして以来、横になって休んでいる時は、いつも私の腕の中か足に寄り添って眠り、私が座ってパソコンに向かっているときは、膝に寄りかかって眠るクー。四六時中、クーと一緒だった。
そして入院。クーと引き離されて5日目。クーが恋しくて恋しくて……。きっと、クーの方も私を恋しく思ってくれているはず。

 そう思って娘に聞いてみた。

「クー、どうしてる?」
「狂ってるよ! 毎晩ニャーニャー鳴いて、二階から下へ、一階から上へ、お母さんを探して回ってるよ。部屋のドアをカリカリかいて開けてくれ〜っ!! て、叫んでるし…」
そんなことを聞くと、可哀想で可哀想で胸が締め付けられる。

「かわいそうに。お母さんの代わりに抱っこしてやってね。それと写メ撮って送ってきて!!」
とお願いした。

それから二人の娘が交代でクーの写真を携帯で送ってきてくれるようになった。寂しくてたまらない時、何度もその写真を眺めた。

末っ子は、クーの可愛い写真を送ってくれる。しかし、蒸し暑い夏だ。暑さと淋しさで虚ろな感じのクーが写っていた。
長女は、超アップで、ちょっと拗ねたような顔を送ってくる。

「何で、こんな顔ばっかりなん!? クーはもっと可愛いやんか」
とメールを送ると、
「淋しくて拗ねてるんやんか。私が仕事から帰ってきたら、撫でてくれって近寄ってくるから、そんな顔になるんやよ」
と言う。
「クーちゃん、かわいそう。」

 ―― いつも横になって、優しいお母さんの横で寝て安心の世界だったのに、どうして急にお母さんがいなくなってしまったのか、猫には理解できない。
こんなに淋しがるのだったら、入院前にようく言い聞かせておけば少しはマシだったかも知れないのに。入院! 手術! と急に決まって自分もパニックになっていたからなぁ。クーにはかわいそうなことをしてしまったなぁ――