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住めば都 ~整形外科病棟~

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「明日は全身麻酔で点滴でしますからね。痛くもなく、あっという間に眠り、目が覚めたときにはもう終わっていますからね」
「でも、気をつけないといけないのは、看護師がもうお水を飲んでもいいですよと言うまで絶対に飲まないでくださいよ。吐いたりして苦しくなりますからね」
「それから、ちゃんと意識が戻ったかどうか時々看護師が、深呼吸してください。とか、足を動かしてくださいとかいうから、聞こえたらそうしてくださいね。」
「はい」
「それでは、深呼吸の練習をしましょうか」
「この壁に向かってフッと息を吐いて下さい」

「はい、もう一度」
このときばかりと私は思いっきり壁に向かって息を吹きかけた。
『フッ!!』
「はい、上手です。それぐらい強かったら大丈夫ですよ」
「入れ歯や差し歯はありませんか」
「はい、ありません」
「あ、その髪飾りも時計も外してきてくださいね」
「はい」
私の体全体を素早く見回しながらすごく細かい注意を伝える。丁寧というか何と言うか……。
「ここまで来ましたから、後は風邪を引かないように気をつけて、万全の態勢で手術を受けましょう」
「はい、では明日頑張りましょう。今夜は眠れないかも知れないけど、眠ってくださいよ」
と言うとサッと出て行った。

廊下の向こうに行ったのを確認して、
「アハハ〜〜〜、あ〜苦しかった」
大きな声で笑いながら、隣の田崎さんに言った。
「田崎さん、言った通りよ。真面目なのに可笑しくって可笑しくって、笑いをこらえるのが苦しかった」
「そうでしょう。おかしいでしょう。ハハハ」
田崎さんも、また思い出したのか大きな声で笑った 。

痛みをなくそうと頑張ってくれてるのにごめんなさい。…………と思いながらも思い切り笑った。
麻酔の不安が一つ消えた。