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司令官は名古屋嬢 第4話 『やっかいな存在』

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「管制室、こちらはそちら所属の輸送機の2号機だ。転属者と物資
 の輸送に来た」
『了解した。第2垂直離着陸パッドに着陸せよ』
「了解」
輸送機の操縦室と向こうの管制室が無線通信していた。
『天候と本日の放射能濃度のデータを送信する。放射能防護服の着用および線量計の動作の確認を怠るな』
「……了解しましたよ。コンピューターさん」
どうやら管制室の声はコンピューターによるもののようだ。

 輸送機は、指示通りの位置に着陸した。砂ぼこりが巻き上がる。
『到着です。今日の放射線濃度は、毎時42マイクロシーベルトです』
機内放送の後、輸送機のハッチが開いた。開いた途端、線量計が反
応し始めた……。
「とうとう来ちゃったわね」
守山が呟いた。
「指揮官室に御案内します」
さっきの兵士は先導して輸送機から降りていった。守山も仕方なく
それに続く。輸送機から降りたところで、数人の兵士とすれ違った。
みんな、防護服を着ており、彼らは輸送機にあった荷物を降ろし始
めていた。
「あちらの建物です」
案内役の兵士はすぐ近くの建物を指さした。
 そこには頑丈そうなコンクリート製の建物があった。窓は一つも
無く、地味な建物だった。看板も無く、『一石三鳥の素晴らしいプ
ロジェクトを遂行しよう!!!』という横断幕が建物の壁に掲げら
れているだけだった……。

 兵士の先導で、守山はその建物に向かって歩いた。彼女は歩きな
がら、自分がこれから仕事をすることになるこの場所を見た。
 もうガレキは片付けられており、敷地内はきれいだったが、あの
4つの原子炉建屋だった建物は、内部の補強工事が行なわれただけ
で、当時のままだった……。外壁のペンキは色あせ、剥き出しの鉄
骨はサビていた……。
 その建屋の補強部分から、隣りにある真新しい工場へと太いパイ
プがつながっていた。
「あのパイプの中にはベルトコンベア−があって、取り出した核燃料を隣りの工場へ運ぶんですよ」
兵士がそう教えてくれた。あの工場では、核燃料を利用した物がつくられているのだった……。
 敷地のあちこちに、銃を持った中京都軍の兵士が警備についていた。自分もああいうことをやるのだろう……。
「私たちは危険箇所には行かないし、防護服の性能が高いので、まだいいですよ……」
兵士は小声でそう言った。
 兵士の他に作業員の姿もあった。彼らは、守山たちが着る他の世界で開発された最新式の防護服ではなく、元々あった旧式の防護服を着ていた……。