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犠牲になる少年の話

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 僕は焦っていた……。

 なぜなら、僕の妹が死にそうだからだ。彼の妹はエイズだった。
妹は昔、「処女とセックスすればエイズが治る」という迷信を信じ
ていたイカれたエイズ野郎にレイプされて、エイズになったのだ…
…。(そのレイプ犯は、狂っているので責任能力無しという無責任
な判断で、無罪なった……)

 3年前には、買い物に出かけていた両親が車に乗っていたところ、
癲癇持ちが運転しているトラックに正面衝突され、死んだ……。
 残された僕と妹は、親戚の元へと預けられた。しかし、その親戚
は、名古屋人らしくケチで、今まで妹が使っていたエイズの進行を
止める薬を買い続けてくれなかった。「近くの神社に御参りしてい
れば大丈夫」なんて言われた……。おまけに、その親戚は妹からエ
イズが感染することをおそれ、妹専用の食器を用意したり、風呂に
は最後に入らせたり、洗濯物は別々にされたりした……。

 僕は街中の図書館の本やインターネットで調べたりして、必死に
妹を救う方法を探した。しかし、有効な方法は見つからず、妹はど
んどん衰弱していく……。



 そんなある日、僕がいるこの世界には存在しないエイズの治療薬
が手に入るという話を聞いた。この治療薬は、「他の世界」の薬で、
この治療薬の注射を打つだけで、あっという間にエイズが治るとい
う画期的なものだ。ただ、この治療薬は、CROSSというこの世
界の支配グループが独占販売しており、とても高額な薬となってい
る……。
 とても手が届く金額ではないと、僕と妹は泣きながらあきらめて
いたところ、僕自身の身を犠牲にすれば、なんとかなるという話も
聞いた。どうやら、僕の心臓などの臓器を移植用に提供すれば、代
わりに、エイズ治療薬をタダで打ってくれるらしい。もちろん、僕
は死ぬことになる……。
 僕は、すぐにその方法を使って、妹を救うことに決めた。妹を助
けるためだと、死ぬことに躊躇することは無かった。ただ、僕が死
ぬことは、妹には内緒にしておいた。マンガとかではよくある話だ。
妹には、気前がいいお金持ち(存在しないだろうが)が寄附してく
れたと言っておいた。無邪気な妹はすぐに信じてくれた。

作品名:犠牲になる少年の話 作家名:やまさん