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明日に向かって撃て!(終)

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 最近よく散歩コースとして使うようになった山の手公園では、小沢耕作さんが相変わらず日がな一日時間をつぶしていたりする。
 この公園は山側に住んでいる人たちにとっては、駅へ行くための最短コースとなっている。
 小沢さんは毎朝毎夕、そういった人たちを眺めているのが面白いのだそうだ。日によって同じ人でも表情が違うので、その理由を空想するのが楽しい、と。きっと人間洞察力にたけてきているにちがいない。

 このあたりでは郵便が配達されるのは、午後2時以降だ。
 数日間、くだんのマンションの近くで人通りが増える夕方まで見張っていたが、成果はなし。俺の存在を嗅ぎつけて現れないのかもしれないと思い、公園で見張ることにした。ここを通るかどうかは分からないのだが。

 缶入りの温かいおしるこを買って、小沢さんを捜した。
 最近は寒暖の差が大きく、まだ10月だというのに、今日は肌寒い。
 リードをはずすとシャーロックは駆けだして、花壇の前に置かれているベンチに横になって居眠りしている小沢さんを見つけ出した。日向ぼっこにちょうど良さそうな場所だ。
 小沢さんの腰の上にシャーロックは前足をかけて尻尾を振っている。

「ンァ〜ア、何かと思たらシャーロックやないか。あ、小南さん、お久しぶりで。気持ちようなってつい寝てしもてましたわ。ックショイ! 冷えてきましたな」
 両手を上にあげて思い切り背筋を伸ばしながら、挨拶をしてきた。
「お久しぶりです。はいこれ。一緒に飲も思て買(こ)うて来ましてんどうぞ」
「おしるこでっか。こんな日は飲みとうなりますな。ありがたくよばれます」
 プルタブを半分だけ開けて手を温めながら、ゆっくりと飲み始めた耕作さん。

「おしるこやコーンポタージュはな、缶を振った後プルタブを半分開けて飲んだら、最後の粒まで飲み干せるんですわ」
 すでに飲みほして、穴を覗き込んで底に残っている小豆を取り出すのに必死の俺に、そう教えてくれた。
「ヘエェ、今度はそうしてみますわ。一粒でも残ってたら意地になりますよね。もったいない」
「それで、なんか私に用事でも?」
「分かりますか。実は……」

「う〜ん。毎日いろんな人を眺めてますがな、時々はサラリーマン風の人が、多分なんかの勧誘でっしゃろな、鞄下げて通って行きますな」
 持っていた缶を足元に置いて腕組みをし、空を睨みつけて考え込みながら話し始めた。
「女の人も結構いてますで。素振りの怪しい人ねぇ。支払明細が送られてくるんは、月末が多いんとちゃいますか」