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CROSS 第12話 『救出』

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「まさか、あんなのに捕まるとはな……」
山口は、ミサイルランチャーを石床に置くと、妖夢の牢屋の鉄格子を覆っている特殊バリアを解除した。悪魔たちは、帝国連邦の物をそのまま使用していたらしく、山口が制御パネルの上に手を置いても認証された。認証され、バリアが解除されると、妖夢は刀で鉄格子を斬った。鉄格子の鉄棒はカランという音を立てて、石床の上を転がった。ちょうど人が1人通れるほどの空間が鉄格子にでき、妖夢はそれをくぐって今は屋上部分が積み重なっている通路に出た。
「……服が汚れちゃいましたよ」
妖夢は砂ぼこりで汚れた服をまたパンパンとやりながら、山口にそう言った。
「礼は無しか。まぁ、別にいいけど」
山口はミサイルランチャーをかつぎ、自動小銃を手にした。

 そのとき、下のフロアからうるさい鳴き声や鈴の音や走り回る音がしてきて、その音はどんどんとこちらに近づいてきていた。少なくとも、味方ではなく敵がやってくるようだった。
「とりあえず、ここから脱出しようか?」
「言われなくても」
山口は自動小銃を、妖夢は刀を構え、通路の向こうにある下り階段へ向かっていった。



 そのころ、ヘーゲルたちがいる基地では、大急ぎで撤退作業を進めていた。10分毎に、兵士や荷物を乗せた輸送機が仮設の滑走路から離陸していく。駐機場の輸送機には兵士や荷物が順番待ちをしており、まだ作業が残っている者は、急いで設備を片付けたり、いらない書類などを焼却したり、使えないように破壊している。そんな光景を、犬走椛が写真に収めていた。
 そんな中、残っているCROSSは、山口の救出作戦に追われていた。今から救出に向かったとしても、基地に戻る時間的余裕は無いため、救出後はそのまま特務艦へ向かうことにした。

 指揮官室には、ヘーゲルたちが残っており、どこかから探してきた木製のテーブルに紙の地図を広げて、救出地点の検討を続けていた。候補として残っていたのは、今、山口たちがいる地点から離れた『嵐の祭祀場』という場所だった……。
「そのポイントの付近は、敵の航空勢力の巡回コースになっているから危険だ」
ヘーゲルが静かにそう言うと、ガリアがそのポイントの付近を指で円を描いてこう反論した。
「しかし、対空兵器はこの辺りには無いはずだ。航空勢力といったって、たかがエイの悪魔だ。突破できるさ」
それにさらにヘーゲルが反論していた……。
 時間は刻々と過ぎていく……。