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Juno は きっと微笑んだ

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おきな桜のその下で



大きな桜の木の下で、お花見が始まっていた。ステファンさんと叔父さんはもうとっくに赤い顔で参加だった。
「ほな、みなさんお揃いになりましたよって、乾杯とさせていただきますわ、ええでっしゃろか・・」
ステファンさんの大きな声が静かな教会の桜の木の下に響いていた。
全員でグラスを持って神父を見ながら笑顔をかわしていた。
「ほな、この桜のように今年も、また来年もずーっとみなさんの幸せが満開になりますように・・アーメン・・ かんぱーい」
「かんぱーい」
グラスを上げて顔を見合ってみんなで声をだしていた。途中でアーメンにはちょっと俺は苦笑いだった。
「さっ めしあがってくださいね、直美ちゃんと麗華さんが頑張って作ってくれましたから・・」
叔母が料理をみんなにすすめていた。
人数も多かったけど、叔母も直美も麗華さんも頑張ったらしくていろんなものがテーブルの上に置かれていた。どれもおいしそうだった。
静かな神父の林さんたちもおいしそうに箸を料理につけていた。もちろん遠慮がちだったけど、お酒もしっかり飲んでいるようだった。
「いやー いい天気だし、いい日で、楽しいですねー」
「ほんまでんなぁー きれいなお墓になりましたしなぁー 」
俺の右隣で叔父とステファンさんだった。
「いい息子さんと、いい娘さんで、よろしいでんなぁー あんさんら・・」
神父が隣に座っていた隼人さんと麗華さんの親御さんに、大好きな日本酒がはいったコップを片手に話しかけていた。
「いやー そうでもないですよ、まだまだの息子ですから」
「うちも まだ、子供で・・」
隼人さんのおとーさんと麗華さんのおとーさんだった。
「いやー いいお子さん達ですわ・・わて、これでも人見る目ありますねん、目は青いんですけどな・・」
上機嫌で笑いながらだった。
「で、何時にしたらええんでっしゃろか・・あんまり早いのは、面倒なんですわ・・ほいで日曜でっしゃろ。日曜礼拝の後でもええんでっしゃろか・・」
隼人さんと麗華さんを見ながらだった。
「それって・・・」
隼人さんが少し間を空けてからだった。
「ありゃ、ええんですか・・わて、気合入れてやらせてもらいますけど・・」
「いいんですかぁー ほんとうですかぁー」
麗華さんと隼人さんが、赤い顔のステファンさんを覗き込んで大きな声を出していた。
「よろしいんですか・・娘がこの教会でお式を挙げたいらしいのは知っててたんですが・・信者でもない人は無理だと聞かされていたんですが・・」
麗華さんのおとーさんだった。
「おとーさん、あんたの子、一生懸命なんや柵作っとりましたわ・・おもろかったですわ・・この隼人さんと言い合いしたり、うれしそうにしたり・・もう、式なんかせんでもええんちゃいますかぁ、ええ奥さんですわ・・」
麗華さんのおとーさんとおかーさんはにっこり話しにうなずいていた。
「ほいで、あんさんとこの隼人さんもなぁー なんやら神奈川からトラック飛ばして朝も早ーくから、一生懸命でしたわ・・ええ兄ちゃんですわ・・そやさかい、わてが結婚式あげたいんですわ・・どうでっしゃろ、ええでっしゃろか・・迷惑なら言ってくれればやめますよって・・どないでっしゃろ」
隼人さんの親御さんにだった。
「そりゃあ、もう・・でも、信者さんにならないといけないんじゃないんですか・・洗礼とか・・」
隼人さんのおとーさんがステファンさんにだった。
「そんなもん、ええんですわ・・なんやわからんこんな変な神父に頼まれて、それも、式もあげられるかどうかもわからんのにあんな立派な柵つくりはったんさかい、洗礼もお説教もいりませんわ・・ほんまもんの信者さんちゅうことですわ・・わて、何十年もそんなこともわからんような神さんに仕えてるわけではありませんよって・・ で、どないだぁー 式あげますんか、わてやりますよって・・」
「ありがとうございます、そりゃ、もちろん」
「はぃ お願いします」
隼人さんと麗華さんが声を合わせてだった。もちろんうれしそうな顔でだった。
「そかぁ それなら頑張らせてもらいますわ、あんたらも頑張るんやで・・」
若い神父さんたちにだった。俺も直美もだったけど、みんな笑顔だった。
「午後3時から披露宴なんですが、その前にお願いしてもよろしいでしょうか・・ここからなら1時間もあれば全員新宿のホテルに移動できると思うんですが・・」
隼人さんが笑顔で聞いていた。
「なら1時からでよろしいか・・あとは、うちの若いのと細かい事は相談したってぇーな」
「はぃ、すいません ありがとうございます」
「あっ、わて赤い顔してますけど、酔っ払って言ってるわけじゃありませんよって、安心しときやぁー ついでに念のために言っておきますけど、お墓の柵を作ってくれたから式あげますのとちゃいますからな、柵を作ってるあんたら見て、ええやっちゃなぁー思うてやさかい、そこ覚えといてやー」
「はぃ」
深くうなずいて隼人さんが返事をしていた。
隣で麗華さんもしっかりとうなずいていた。
「ほな、話も終わりましたよって、にぎやかにいきましょかぁー 桜きれいですわぁー 今年は特にきれいでんなぁー 聖子さん」
叔母にだった。
「そうですねー 10年に1回ぐらいですかねー」
「聖子はん生まれた頃は、まだこんなには大きくなかったわなぁー この桜」
「そうですねぇー 」
「お互い歳とりましたなぁー」
「でも、おかげで、こんないい日もありますからね・・」
「そやなぁー」
うれしそうに2人は話を続けていた。
「良かったね、劉・・」
少しお酒を飲んで頬を染めた直美に小さな声で言われいた。
「うん、よかったわ・・ほっとした・・」
「聞いてもいい・・いやならいいけど・・」
「なに」
想像はついていた。
「隼人さんから 話聞いた時にめずらしくなんか、乗り気じゃなかったでしょ・・劉って・・間違ってたらいいんだけど」
「いや、うーんとねぇー この教会で結婚式あげたいんだよね・・それだけ・・なんか身近な人に先越されるのってなぁーって思ってさ」
もちろん小さな声で直美の耳元でだった。
「ふーん、それって、わたしもかも・・」
耳元で言われて、目を合わせて口元を一緒に直美と緩めていた。
「でも、いいや、参考にして、いい結婚式あげるから・・」
「わたしもっと」
直美の右手がそっとのびていた。うれしいあったかな感触だった。

「なんや、あんさんらも こそこそと結婚式の打ち合わせでっかぁー」
いきなり大きな声のステファンさんだった。どうにも油断のならないおじーちゃんだった。
「ステファンさん、なにか劉と教会の中に作りましょうかぁー」
「なんも作らんでええがなぁー たまに聖子さんの家で料理でもつくって呼んだってやぁー ご馳走になりますさかい、日本酒も用意しとってやぁー」
直美がうれしそうに言い返して、ステファンさんが笑いながらだった。
満開の桜の木の下には笑顔がいくつも咲いていた。形は違ったそれぞれの想いの花が咲いていた。