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Juno は きっと微笑んだ

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お花見前に


「すいません、こっちです」
庭からも当然いけたけど、お客様だったからきちんと玄関からご案内することにして、少し歩いていた。
「柏倉くんは、たしか交通事故で入院してたのかな・・人違いだったら・・」
麗華さんのおとうさーんに聞かれていた。
「いえ、それは俺です、おかげさまで直りましたけど」
「渡辺さんの甥っ子だったんだね・・」
「親父の弟なんですよ、叔父は・・叔母の家に養子で入ったから苗字は変わっちゃいましたけど・・」
「なるほどね、そういうことか・・たまに渡辺さんとはゴルフをご一緒させてもらってるんですよ」
「そうですか、叔父と麗華さんのおとーさんがお知り合いなのは、今朝まで知りませんでした」
「何かのご縁でしょうなぁ・・」
「はぃ」
こんな大都会でたしかに不思議だなぁーって思っていた。
「えっと、ここです」
玄関について、少し後ろを歩いていたおかーさんに声をかけていた。

「おじさーん 浅見さんですよー」
玄関のドアを開けて中にだった。
「すいません、お呼びだてして・・」
返事も無くあわてて叔父が足音を響かせてやってきていた。
「どうぞ、あがってください、もう少しで始まりますから、それまでこちらで・・」
「すいません、ではお邪魔させていただきます。女房も一緒なんですが・・」
「これは、いつもお世話になっております」
赤い顔で叔父が麗華さんのおかーさんに丁寧に頭を下げていた。
「いえ、突然でこちらこそ」
「さっ あがってください」
スリッパを出しながらだった。
「あっー なにぃー 2人とも、どうしちゃったの・・」
麗華さんが大きな声を出しながらビックリした顔で玄関に走ってきていた。
「電話でおよばれいただいてね、渡辺さんに・・内緒にしてたんだ」
「やだぁー おとーさんも おかーさんもぉー 劉の叔父さまとお知り合いなわけ・・知らなかったぁー」
「こっちこそ、お前がお世話になってるのに知らなくて、失礼してしまった・・」
親子の会話が玄関に響いていた。
「まっ ここじゃなんですから、あがってくださいな」
叔父が真っ赤な顔だったけど、きちんとだった。
おかしかったのは、知らない間に、直美もステファンさんも、それと、隼人さんも全員玄関に揃っていたことだった。

「こんにちわ、すいませんお久しぶりです すいません赤い顔で」
日本間に全員揃ったところで隼人さんが緊張した顔で麗華さんの親御さんに挨拶をしていた。玄関でももちろん挨拶をしていたから2回目だった。
「いや、こちらこそ 隼人くん」
麗華さんの親御さんが揃って頭を下げていた。
「さっ いいから、座りなさいよ」
麗華さんが親御さんをうながして、お茶を出していた。
2人は叔父とステファンさんの前に座って、ステファンさんが大きな声で挨拶をしていた。もちろん 変な関西弁でだった。
「隼人は、劉を手伝って、お花見の準備してくれるかな・・もう運ぶだけになったから」
「そうか、じゃぁ、劉と運ぶか・・」
「お酒とか重いのからお願いね、隼人」
「うん、わかったわ」
返事をした隼人さんに顔を見られていた。
「あっ じゃぁ 一緒にやりますか、隼人さん」
あわてて返事をしていた。
「そうだなぁ、どれ、頑張るか・・」
「はぃ」
返事をして、直美と麗華さんに言われたものを2人で教会の桜の木の下に運び出していた。途中からは、神父さんたちと一緒になってお皿もコップも料理も順番にだった。
後は、全員揃って桜の木の下に座れば出来上がりだった。

「おーい 隼人ぉー」
車が門から入ってきて、ゆっくりと止まりながらだった。
「なんだぁー 親父ぃー お袋まで・・」
「麗華さんの親御さんに呼ばれたんだが・・ここでいいのか、車は」
「そこでいいわ、しっかし 内緒かよ・・」
あきれた顔で隼人さんが 親父さんにだった。
「劉、知ってたのか・・」
「いや、知らないですよー」
本当のことだったけど、あわてて否定していた。でも、きっと叔父は知っていたはずだった。
「おっー 綺麗だなぁ 桜が・・」
奥さんと一緒に車を降りてこっちに歩きながらだった。
隼人さんと同じく、背の大きなおとーさんだった。
「こんにちわ、柏倉です」
初めて会って、頭を下げていた。
「おっ いつも お世話になってます」
隼人さんと並ぶとそっくりのおとーさんだった。隼人さんはおとーさん似のようだった。
「で、どこなんだ、きちんとできたのか・・」
「綺麗にできてるに決まってるだろ」
「いいから、はやく見せろや」
「こっちだよ」
隼人さんがおとーさんを連れてお墓に向かって歩き出していた。
「あの車は麗華さんの家のくるまですよね・・」
隼人さんのおかーさんに聞かれていた。
「あっ、はぃ いま、となりの叔父の家にいます、よかったらご案内しましょうか・・」
「そうですか、お願いしてもいいですか」
「はぃ、こっちですから」
お客様だったけど働きながらだったから、隣の庭に向かって隼人さんのおかーさんを後ろに歩き出していた。
歩きながら人数を数えたら14人になっていた。どうりで数は2つだったけど大きなテーブルのはずだった。
叔母も人数を知っていたようだった。
「あれですか・・隼人と麗華さんが作ってたのは・・」
少し離れたお墓の柵と、その前に立っていた隼人さんと旦那さんを見ながら聞かれていた。
「そうです」
「きちんと出来てるのかしら・・」
「はぃ、すごく良く出来てますよ」
「こんな立派な教会に恥ずかしくなけりゃいいんだけど」
「大丈夫ですよ、とっても似合ってますよ」
「なら いいですけど・・」
笑顔のおかーさんだった。
途中ですれ違った林さんには これでもう全部終わりました って言われていた。
叔父の仕業か、ステファン神父の仕業かはわからなかったけど、全員揃いぶみって感じだった。
あとはステファン神父が酔いすぎて、大事な事を忘れなければって祈っていた。

叔父の庭に入ると、直美がにっこり家の中から、こっちを見ていた。
その隣で麗華さんは、あわてた顔で隼人さんのおかーさんに頭を下げていた。