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CROSS 第11話 『奇妙な夜間行軍』

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第2章 通信



 山口たちが乗っていたエアリアルが墜落する少し前、ヘーゲルたちがいる悪魔魂陸軍基地に緊急通信が入った。その緊急通信は、通信室にいた夜番の通信兵の眠気を覚めさせる。
「さ…佐世保中尉! 司令部からの緊急通信が来ました!」
興奮した様子の通信兵が緊急通信の書類を、通信室を出てすぐのところにいた佐世保に手渡した。彼女はどこかで夜更かしをしていたようだ。
 書類を受け取った彼女は、さっそくその書類を読んでみた。すると、すぐにその場から走り去る。
 その後、近くでコーヒーを飲んでいた兵士が通信兵に、どんな内容だったのか尋ねた。通信兵は興奮した様子で、
「やっと撤退命令だよ!!!」

 佐世保は基地中をアスリートのように駆け回っていた。彼女は、山口を探しているようだ。もちろん、基地のどこを探しても、彼はいない……。
「佐世保中尉! 誰を探しているんですか?」
戦車の上に乗っていたガリアが赤ワイン(彼が特務艦から持ち込んだ)を飲みながら、佐世保に聞いた。佐世保は足を止めて、
「山口を探しているんだけど、どこにもいないの」
「それじゃあ、オレたちも探しますよ。 それで、何かあったんですか?」
「ちょっと司令部からの通信の書類を届けなきゃいけないのよ」
「通信?」
ガリアがそう言うと、佐世保は小声で、
「撤退命令よ」
「え? まだ来たばかりじゃないですか!」
ガリアが思わず大声を出してしまったので、佐世保はガリアに腹パンをお見舞いした……。
「とにかく、山口を探して!」
「は…はい」
腹を押さえながらガリアがそう言うと、佐世保は再び走り出した。ガリアもやれやれとつぶやきながら、赤ワインのビンを片手に山口を探し出した。途中で出会ったウィルと上社にも、山口を探しように言った。
 ガリアが空になった赤ワインのビンをポイ捨てしたとき、整備兵がガリアの元にやってきて、
「あの、ガリア少尉。夜間偵察のエアリアルが墜落したのですが……」
「そんなのオレに報告しなくていいだろ! 書類を提出しとけばいいだろ!」
少し酔っ払っている様子でガリアがそう言った……。
「今は山口探しで忙しいんだ」
ガリアはそう言うと、その場から去ろうとする。しかし、整備兵がおそるおそる言った次の言葉に足を止めた。
「そのエアリアルに山口が乗っていたみたいなんですが……」