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CROSS 第10話 『駆け引き』

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第1章 「元帝国連邦兵」たちとの戦い



   第10話 『駆け引き』

【時間軸】 … 異次元暦42733年 11月15日
【場所】 … 『世界『悪魔魂』』(デモンズソウルの世界)
       ボーレタリア王城内



 山口たちはなんとか王城の中に入ることができた。しかし、彼ら救助部隊には大きな被害が出ており、生き残れたのは、山口と佐世保とCROSS隊員8人と工兵4人と衛生兵1人だけだった……。全員、王城入口付近の通路で休憩しており、山口は衛生兵からバンソウコウをもらっていた。みんなクタクタに疲れている。
「山口さん、前方を偵察してきます!」
ただ、佐世保だけはまだ疲れていなかった……。彼女は通路の向こうへ走っていく。
「待て! おまえ一人で行かせるわけにはいかん!」
山口は走っていく佐世保に言ったが、彼女はそのまま行ってしまった……。彼はため息をつき、休んでいる隊員と兵士たちのほうを向いて、休憩は終わりだと伝え、佐世保が走っていった通路の向こうへ歩き出した。

 通路の奥には広場らしき開けた場所があった。ここにも霧が漂っており、その広場の真ん中で佐世保が何かを見上げて突っ立っていた。
「どうした? 何かあったか?」
山口は佐世保に近づきながら言った。彼女は黙って上のほうを指さした。彼は、彼女が指さした方を見て驚いた。
 なぜなら、佐世保が指さしたのは、自分たちの国旗が掲げられているポールで、日の丸の赤い部分に人の生首一つが縫いつけられていたからだった……。
「……ここに国旗があるってことは」
「ええ、山口少佐。ここに一木中隊がいたんです……」
 そのとき、広場に漂っていた霧が晴れた。そして、広場の惨状が全員の目に飛び込んできた……。
 広場には無数の死体が転がっていた……。敵兵の死体もあったが、ほとんどが味方の帝国連邦の兵士のばかりだった。この広場でキャンプを張っていたらしく、兵器や物資が散乱していた。
 手分けしてこの広場を探したが、生存者は一人もいなかった……。もっと王城の奥へと続く門には濃い霧が覆っており、誰も近づけなかった。しかし、この広場にあるたくさんの死体の数からいって、この門の向こうに生存者がいる見込みはゼロだった……。
「無駄死にな上に、無駄足じゃないか!!!」
突然、工兵の一人が叫んだ。即座にCROSS隊員は「オイ!!!」と言って、その工兵を黙らせようとしたが、他の工兵と衛生兵もこの工兵の主張に同調した様子で、山口に詰め寄る……。隊員たちは彼らを山口から引き離す。その一部始終を、山口と佐世保は黙って見ているしかなかった……。