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陰陽戦記TAKERU 後編

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 男は病院に連絡して運んでもらった。
 そして香穂ちゃんは客間に布団を敷いて眠っている、よほど疲れたんだろう。
「さてと」
 とりあえず香穂ちゃんの家には美和さんが連絡を入れた。
 後は香穂ちゃんが元気の出る料理を作って食べさせるだけだ。
 今美和さんが作ってくれている、とりあえずジュースだけでも持って行こうとオレンジジュースの入ったコップを盆に乗せて香穂ちゃんの元へ持っていった。
「香穂ちゃん……」
 香穂ちゃんは起きていた。
 布団に入ったまま上半身を起こして顔を暗くしていた。
「あ、お兄ちゃん……」
「どうしたんだよ、どこか怪我でもしたのか?」
 すると香穂ちゃんは首を横に振る、
「違う、あいつ…… 本気出してなかった」
 香穂ちゃんが言う『あいつ』って言ったらやっぱ窮奇だよな、
 あいつが本気を出してなかった?
「本当なのか?」
 俺は横にいる白虎に尋ねる、
『ああ、正直勝てたのは操られていた人との供給が切れたからだ。それに少年君達が来るのが遅ければ香穂は……』
 実は香穂ちゃんは俺達の中で法力が一番低くかった。
 俺達と違って長時間戦えないのが悔しいと言う。
「私…… 助けに来たのに、結局助けられた……」
「香穂ちゃん」
 俺は目に涙を浮かべた香穂ちゃんの両肩に手を置く、
「元気出せって、あのままじゃ俺達だってやられてたんだからさ」
「……本当?」
「ああ、だからそんなに落ち込むなって、なぁ?」
「うん、ありがとう」
 香穂ちゃんは笑ってくれた。
「さて、俺は…… うおっ?」
 俺は立ち上がって美和さんの手伝いをしようと思い膝に力を入れるが足がもつれて香穂ちゃんの上に倒れてしまった。
「きゃっ?」
「あ、ごめん……」
 俺は正直に謝る、
 するとその時だ。廊下から足音が複数の足音が聞えた。
「武様、加奈葉様達が……」
「武、香穂ちゃんは大じょ……」
 突然現れた美和さん、加奈葉、学の3人は視界に広がる状況に凍りついた。
 今俺は香穂ちゃんの上に覆い被さっている。
「武…… 様?」
 すると美和さんは両手で顔を抑え、加奈葉はガタガタ震えながら俺に向かって指を差した。
「アンタ…… 小学生に何してんのよ?」
 俺は今の状況を見る、
 すると俺は慌てて香穂ちゃんから飛び退いた。
「な、何言ってんだ。俺は香穂ちゃんを元気付けて……」
「元気付ける、どうやって?」
「え、いやだからほら……」
 美和さんを見ると美和さんの目から涙が溢れて頬を伝わった。
「武様、私は信じてます、信じてますが…… ごめんなさいっ!」
 美和さんは泣きながら廊下を走って行った。
「み、美和さ……」
「武っ!」
 俺は慌てて追いかけようとするが加奈葉の手が俺の胸倉をつかむ、
 今の加奈葉は漫画・アニメ・特撮のヒロインがしてはいけない顔になっていた。勿論小説もだが……
「アンタ、美和さんを泣かせたわね…… そんでもって香穂ちゃんにいけない事を……」
 ちょっと待て、いけない事って何だ?
 学、説明してくれ、決して俺はそんな男じゃ無いって事を…… 親友だろ俺達は?
「……まぁ、何だ。色々あるんだろうが、さすがに今回は犯罪だ。」
「この薄情者!」
「……おい」
「はい?」
 思わず敬語になり加奈葉を見ると加奈葉は右手の指を鳴らしながら拳を作り四凶よりも凶悪な笑みを顔に浮かべた。
「歯ぁ食いしばれ、この馬鹿野郎っ!」
「ま、待て加奈葉、俺は……」
 その後加奈葉達を説得するのに一晩中かかったのだった。