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CROSS 第7話 『動向』

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「まあまあ。敵の悪魔軍が基地に乗りこんで来たときは、奴らに助けてもらったんだろ?」
山口は受付嬢をなだめながら言った。
「……よくわかりましたね?」
「そりゃあ、この基地に魔術が使える兵士がいないことぐらい知ってるよ。魔術兵はみんな前線にいるんだろ?」
「そうなんですよ……。応援を頼んでも来てくれなくて……」
「まぁ、あの妖精どもとはうまく付き合ってくれ」
「スカーレットさんが帰った後も半分は駐屯するらしいですよ……」
「そりゃ、キツいな」
「ほんとですよ」
その時、受付にあった電話が鳴り出した。すぐに、受付嬢は応対した。そして、電話を終えると、すぐにエレベーターのほうを指さして言った。
「司令室に行く前に、貴賓室に行ってください! 今すぐにです!」
受付嬢は落ち着きを失っていた……。
 山口は黙ってうなずくと、エレベーターに乗りこんだ。乗りこんだとき、山口の後ろから受付嬢が山口に、
「お気をつけて!」
エレベーターのドアが閉まるときに山口は受付嬢に、
「おまえに心配されなくても、オレは大丈夫だよ」
苦笑いしながらそう言った……。



 貴賓室があるフロアに着いたエレベーターから出ると、そこには妖精兵がたくさんいた。山口以外の人間は一人もいなかった……。妖精兵たちは山口を見て、ヒソヒソ話をしていた。山口は気にせず、
貴賓室に向かった。
 貴賓室のドアの前には、ナイフを持ったメイドが立っていた。彼女は山口が来たことに気づくとやれやれといった表情でナイフをしまうと、ポケットから不思議な模様があるカードを山口にかざした。
 すると、そのカードは白い光を放ち始め、その場を光で包んだ。そのとき、山口のポケットなどから、ピストルやコンバットナイフといったありとあらゆる武器が一斉に飛び出した。その飛び出した武器は、みんなドアの近くに置いてあった赤い箱に収まった。武器が入った箱は自然に閉まった。そのころには、白い光は消えており、カードも消えていた。山口は武器が入った箱を眺めながらメイドに、
「オレがスカーレットさんを攻撃するとでも思っているのか?」
「……私たち従者は、常にもしものことを考えています」
「ああ、そう」
 そして、メイドは武器が入った箱を持ち上げると、貴賓室のドアの前をどいた。山口がドアの前に来て、ドアをノックしようとした時、山口の後ろからメイドがナイフを取り出しながら、
「変なマネをしたら、すぐに殺しますからね」
そう殺気を漂わせながら言った。山口はため息をつくと、ナイフを構えるメイドに背を向けながら、
「はいはい、お手柔らかに」
それだけ言うと、山口は貴賓室のドアをノックした。すぐに貴賓室の中から「入りなさい」という少女の声がした。山口はゆっくりとドアを開けた……。