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CROSS 第7話 『動向』

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 貴賓室を出ると、入口にいたメイドが山口の武器が入った箱を持って立っていた。彼女はその箱を開けて、山口に中身を持っていくように言った。山口は無言で箱の中に詰まっている自分の武器を取り出し始めた。メイドは山口がイライラしてることを感じとったようで、黙って一部始終を見ていた。
 山口は箱の中の武器を全部元にあったところに戻すと、立ち去ろうとした。そのとき、急に貴賓室のドアが開き、少女が山口を呼びかけた。山口は立ち止まって振り返ると、1冊のぶ厚い本が山口に向かって飛んできた。
「おっとっと!」
山口はなんとかその本を受け取れた。
「この本は何ですか?」
山口が本の表紙を眺めながら少女に言った。少女は得意気な表情で、
「少し早いけど、あなたたちがやった『758革命』から4年がたつでしょ。その記念品として、その図書館にあった魔法書をあげるわ!」
「お嬢様! 図書館の大事な本を勝手にこんなのにあげちゃいけません!」
「こんなのって……」
「ちゃんとパチェの許可は取ってあるわ」
「また評議会で言われますよ!」
山口を無視して少女とメイドは言い争いを始めた……。山口は肩をすくめながらその場から離れた。おそらく、山口は、このままここにいたら、本をこのメイドに奪われそうだと思ったからだろう……。
歩きながら山口は、もらった魔法書をパラパラとめくった。そこで山口はエレベーターを見てニヤリとした……。

 山口がその場からいなくなった後も、少女とメイドの二人は山口に魔法書をプレゼントしたことをめぐって言い争っていた……。
「どんな本をあげたんですか?」
「……えーと、何の魔法書だったかしら」
少女はとぼけたが、
「あの男に見せてもらいましょう」
そこで少女とメイドは山口が消えていることに気づいた。
「あいつを見なかった?」
すぐにメイドは近くにいた妖精兵に尋ねた。妖精兵はエレベーターを指さしながら、
「下に降りちゃったようです」
メイドはすぐにエレベーターに駆け寄ると、エレベーターの現在位置の表示を見た。「1F」と表示されていた。
 すぐにメイドはポケットから時計の模様があるカードを取り出した。先ほどと似た白い光をエレベーターにかざした。すると、すぐにエレベーターがこのフロアに着いた。エレベーターのドアが開いた瞬間、メイドはエレベーターの中に駆け込み、それに続き、そのフロアにいた妖精兵全員が乗りこんだ。
「お嬢様は貴賓室にお戻りください!」
メイドはそう少女に言うと、エレベーターのドアを閉め、下に降りていった。