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CROSS 第6話 『死守』

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第1章 到着



   第6話 『死守』

【異次元暦】…42733年 10月10日
【位置】…FF界雲・第7世界・周回軌道上



 CROSSの特務艦は、目的地である世界の周回軌道上で停止しており、船の作戦室で山口とヘーゲルが、これからCROSSが援軍として向かう魔こう炉の守備隊と連絡を取っていた。
 作戦室のスクリーンには、煙を上げている大型ロボット兵器を背景に、少尉の軍人が頭に包帯を巻いた状態で立って話しているのが見えた。

『……以上のように、我が部隊に大きな損害が出ています。このままでは、全滅は時間の問題です! 指揮権があなたがたに移ることは、我々も了承しています!』
少尉は、力強い口調で言う。
「少尉、制空権は敵の神羅軍に完全に奪われているんだな?」
山口が守備隊の詳細データに目を通してから、スクリーンに映る少尉に聞いた。その少尉の男の年齢は、30代に見える。
『……ええ、味方の空軍基地も神羅軍に襲撃を受けているせいで滑走路が使えず、そのため、現在は神羅軍が制空権を握っており、2日に1回は、敵の爆撃機『ベルニカ』によるピンポイント爆撃を受けております。我々の対空装備は貧弱です」
「ピンポイント爆撃? すると、魔こう炉に大きな被害が出ているんだな?」
『いえ、山口少佐。 魔こう炉はほとんど無傷で、狙われているのは、それ以外の軍事施設や居住区などです』
「……あの連中は、我々のエネルギー採掘をやめさせたかったんじゃなかったのか? 大尉?」
「山口さん。おそらく、敵はあの魔こう炉を、占領したら使いたいと考えているんだと思います。我々帝国連邦のほうが、エネルギーの採掘技術が進んでいますので、その技術が詰まった施設を破壊するのを避けているんでしょう」
ヘーゲルが山口に言う。
「とにかく、増援を早くお願いします!』
少尉は必死の表情だ。
「モビルスーツの敵は襲ってきたか?」
衛星写真を見ながら問う山口に、少尉は青ざめる。
『……敵はモビルスーツも持っているんですか?』
「いや、敵軍へ配備されているのを、司令部が確認しているということだけだ。ただ念のため、対モビルスーツ兵器も持っていく」
山口がそう言った次の瞬間、向こうで爆撃音が響く。少尉がうんざりとした表情で、爆撃があったらしい方向を見る。
『……また爆撃です。退避のため失礼します。CROSSには期待していますよ!』
そう言うと少尉は通信を終えた。スクリーンには「通信終了」とだけ表示される。
「ヘーゲル、すぐに上陸の用意を」
「わかりました」