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蛇の目

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以前は玄戒村とされていたが、
現在では「平成の大合併」により近隣の町村と合併し
玄戒地区とされ、折からの少子高齢化と、住民の半分以上が高齢者
と云うこともあって“限界村”だの“限界集落”と揶揄されている。
橋を渡ると小さな墓場と消防団の倉庫があり、
細い道を更に進むと、棚田が広がっている。

棚田を仰ぎ見ながら、更に進むと民家が見えはじめて。
バスは玄戒地区の中心部に向かう。
民家の間をすりぬけるように走り、終点の「玄戒」に着いた。
中心部といっても、旧玄戒村役場(現田代町役場玄戒地区出張所)と
駐在所や商店が数件軒を連ねてはいるものの、
あまり繁盛しているようには見えない。
「玄戒村グランドホテル」と云う名の民宿が、強いて言えば大きな建物か。

この大きな民宿に予約をしていたので、足を向けると、
その前に宿の主と思われる男から声が掛けられた。
「ご予約のお客様ですね?」
どうも、今宵の客は、他に無いようだ。
背の高い細身の初老の主に連れられ、
「グランドホテル」にチェックインした。

作品名:蛇の目 作家名:平岩隆